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2010.09.19.12.19

『軋轢』 by FRICTION

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例えば、"日本のロック"名盤 (Japanese Rock Best Album) **選を編めば、確実にエントリーする作品であるのは間違いないだろうし、世界中の作品をその対象とした"パンク"名盤 (Punk RocK Greatest Album) **選を編めば、それにも確実にエントリーされなければならない作品である。

にも関わらずに、この作品は、到達点でもなければ出発点でもない。この作品に関わったモノ達にとっては、単なる通過点のひとつでしかないのだ。

それは、この作品が、当時のフリクション (Friction) にとって、一期一会 (Treasure every meeting, for it will never recur.) だからに相違ない。このバンドの長い歴史の中で、このメンバーが集ったスタジオ・レコーディング作品は、これしかない。
ツネマツマサトシ (Tsunematsu Masatoshi)チコ・ヒゲ (Chiko HIge)そしてレック (Reck)。敢て言えば、本作品でプロデューサーとしてクレジットされている坂本龍一 (Ryuichi Sakamoto) [彼がなにをしてなにをしなかったのかは、諸説入り交じっている] にとってもだ。

それと同時に、フリクション (Friction) というバンドにとって、この作品が最高傑作かと言うと、ちょっとたじろいでしまう。
本作品発表から3年の後、1985年に発表されたセカンド・アルバム『スキン・ディープ (Skin Deep)』の方が、実は彼らにとっての頂点かもしれない。
また、本作品発表前後の、ライヴ音源を集めた作品群[『79ライヴ ('79 Live)』と『ライヴ 1980 (LIVE 1980)』] の方が、当時のメンバーの臨界点 (Critical Point) の記録としては、正しいものなのかもしれない。

一種の生命体としてバンドをとらえてみれば、上に書いた事は、あまりに自明である。些末な事象に拘りすぎているのかもしれない。
ライヴを通じて体感したモノを、そのまま、スタジオに持ち込んで、結晶化 (Crystallization) させる事は、どだい無理なのだ、と。
そう、開き直る事が肝心であり、そこから総てが始るモノもある筈なのだ。

そんな当たり前の認識を知りつつも、それにも関わらずに、その当たり前が当たり前ではない様に、喉元の小骨の様に、気になって仕方がない。

それは、ひとつには、ぼくがこの作品をリアルタイムに体感せずに、通り過ぎてしまい、その後に、慌てて拾い集めた結果なのかもしれない。

彼らと彼らの周辺が世に出る端緒となった、"東京ロッカーズ (Tokyo Rockers)"というムーヴメントに関して当時、ぼくは冷淡な態度を執っていた。
ニュー・ヨーク (New York Punk Rock) やロンドン (London Punk Rock) で起こっていた"パンク (Punk)"なるものに東京が呼応して発生した筈のそれは、当時のぼくの中に、リアリティが全くなかったのだ。
その理由や口実や言い訳を、いくらでも述べ立てる事は出来るのだろうけれども、そんなコトに労力を費やしたくはない。

当時のぼくは、アルバイト禁止の公立高校に通っていて、わずかな月々の小遣いでニュー・ヨーク (New York Punk Rock) やロンドン (London Punk Rock) を追いかけているのに精一杯だった。ぼくの棲んでいた東海地方の一都市には、ライヴハウスが一軒もなかった。それだけを指摘しておけば、とりあえずは充分だろう。
そしてその数年後に上京して、少しずつ東京に慣れ親しんだその結果として、彼らのライヴに接するのである。1990年代を目前とし、フリクション (Friction) というバンドも、『スキン・ディープ (Skin Deep)』を発表して数年が経過していた。

だから、ぼくの手許にある彼らのふたつの作品は、再発CD化音源なのである。

CD化されたファースト・アルバム『軋轢 (Atsureki)』とセカンド・アルバム『スキン・ディープ (Skin Deep)』を何度も聴き返しながら、ある違和感にいつも囚われる。それは咀嚼出来ないナニかだ。胃の腑 (Stomach) に墜ちないまま、食道 (Esophagus) だけが蠕動運動 (Peristalsis) を繰り返している、居心地の悪さ。
つまり、『軋轢 (Atsureki)』にあって『スキン・ディープ (Skin Deep)』にないものと、『軋轢 (Atsureki)』にないのにも関わらずに『スキン・ディープ (Skin Deep)』にあるものの差異だ。
単純に区別すれば、前者は"速さ"であり、後者は"重さ"である。しかし、ぼくの求めているモノは、前者の"重さ"と後者の"速さ"なのである。

と、書くと、無い物ねだり (That's crying for the moon.) と思われるかも知れない。
言い換えよう。"速さ"を補完し保証する"重さ"と、"重さ"を保証し補完する"速さ"が、それぞれに見え隠れしているのだ。
バンド名のフリクション (Friction)軋轢 (Atsureki) にちなんで言えば、そのヒリヒリとしたりザラザラとしたりゴリッと引っ掛かったりザリっとささくれたりしている、その感触なのである。

そのイヤな筈の感触が、最高の快感に変わる、その瞬間を待っている、とでも言えば良いのだろうか。

それはライヴにしても同じだ。彼らのライヴを体感すれば、そこで得られる昂揚感とは別のモノを、つい欲求してしまう。昨日よりも今日、今日よりも明日のパフォーマンスが素晴らしいのだと思える一方で、こんなもんぢゃあないだろうという欲望が、頭をもたげるのである。
そして、もたげた頭を抱えながら、忘れた頃に発表される彼らの新作に立ち向かうのである。

その正体はなんのか?
ぼくは、レック (Reck) の発する言葉ではないか、と思う。
彼独自の言語感覚、日本語と英語がカオス状態となって放たれる、その違和感。そして、そこから産み出される、異様なグルーヴ感。そこから総てが始っている様に思えるのだが?

ものづくし(click in the world!)96. :
『軋轢』 by FRICTION


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軋轢 (Atsureki)』 by FRICTION

1. A-GAS
2. AUTOMATIC FRU.
3. I CAN TELL
4. 100 NEN
5. CRAZY DREAM
6. CYCLE DANCE
7. COOL FOOL
8. NO THRILL
9. BIG-S
10. OUT

FRICTION :
RECK vocals, bass, synthesizer on "NO THRILL"
   *guitar solo on "CRAZY DREAM"
   *rhythm guitar on "OUT"
TSUNEMATSU MASATOSHI
   all guitars (except *)
CHIKO HIGE
   drums,
   alto sax on "CYCLE DANCE" & "OUT"

Play it again, Sam, 'LOUDER'

PRODUCED BY FRICTION & RYUICHI SAKAMOTO
CHIEF ENGINEER : SHIN-ICHI TANAKA
ASSISTANT ENGINEER : KATSUSHI HATAKEYAMA (SOUND CITY STUDIO)
COVER PHOTO : KIMIO SATOH
BACK COVER PHOTO : TADASHI HIROSE
DESIGN & ART DIRECTION : SCHERZ HARUNA

FRICTION : RECK, TSUNEMATSU MASATOSHI, CHIKO HIGE
RECODED AT SOUND CITY STUDIO, TOKYO, 1980

PASS RECORDS 1980
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