2017.08.01.12.34

さとり

水木しげる (Shigeru Mizuki) のマンガ『ゲゲゲの鬼太郎 (GeGeGe No Kitaro)』 [19651969週刊少年マガジン連載] の1挿話『天邪鬼 (Amanojaku)』 [1968年8月発表] で、目玉親父 (Medama-Oyaji) が息子の鬼太郎 (Kitaro) に向かって、次の様に発言している。
「天邪鬼はむかしからさとりの怪ともいわれすぐさまおまえの妖気を知ってしまうのだ」

天邪鬼 (Amanojaku) がさとり (satori) であると謂う主張を知ったのは、このマンガでの事である。
その真偽はさておき、物語はさとり (satori) である天邪鬼 (Amanojaku) に対して秘策を練った筈の鬼太郎 (Kitaro) が、それが秘策であるが故に、自身を窮地に陥らせてしまう事になる。但し、その秘策が失敗してしまったのは、天邪鬼 (Amanojaku) がさとり (satori) である所以に帰する事が出来るのか、それとも、単なる彼の嗜好の結果なのかは解らない様に物語が綴られている。つまり、鬼太郎 (Kitaro) の妖気を察知した結果なのか、そうではない偶然の結果なのかは一切に解らない。
解読次第によっては、自身の父による入れ知恵によって、鬼太郎 (Kitaro) が天邪鬼 (Amanojaku) をその実力以上に過大評価したが故に綻びた、失策次第の何者でもない作戦として、その秘策を評価する事が可能なのだ。

さとり (satori) と謂えば、次の様な民話が眼に浮かぶ。一名『サトリのワッパ (A Chird Of Satori)』と呼ばれているそうだ [例えば、こちらを参照の事]。
物語の概要はこうである。
さとり (satori) が少年乃至は少女に化身して、人前に顕れて、その人物の心中を次々に謂い当てていく。心中をみすかされた人物は恐怖し、事態を打開しようとしても、どうしようもない。なにもできない。
何故ならば、次から次へとその人物の内心をさとり (satori) が指摘するからなのだ。
「こわいのだろう」「にげたいのだろう」「それでおれをころそうとするのだろう」
しかし、事態は思わぬ展開をする。偶然の弾みで、思いもかけぬ痛手をさとり (satori) は負ってしまうのだ。
その結果、さとり (satori) は誤解をする。その痛手こそがめのまえにいる人物よる妖術であるのだ、と。
そして、自身の人智を超えた存在として人間と謂う生物を理解し、恐怖に襲われて遁走する。

この物語は如何様にも解釈可能である。

冷静に考えれば、痛手を負った際に、自身の相対している人物の心理を解読すれば、さとり (satori) は自身の身の上に起きた現象を、もっと明瞭に理解出来た筈なのである。
にも関わらずに、さとり (satori) は勘違いし、撤退してしまう。

人間よりも遥かに優れた能力を得ているのにも関わらずに、それ故に、その能力自身が陥穽となってしまう。

なんだか古典的なSF、小説『宇宙戦争 (The War Of The Worlds)』 [作:ハーバート・ジョージ・ウェルズ (Herbert George Wells) 1898年発表] にも相通じるモノがある様な気がしないでもない。この物語では、自らが築いた高度に発達した文明そのものによって、侵略者は破滅してしまうのだ。

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ところで、さとり (satori) は、鳥山石燕 (Toriyama Sekien) も『今昔画図続百鬼 (Konjaku Gazu Zoku Hyakki : The Illustrated One Hundred Demons From tThe Present And The Past)』 [1779年頃刊行] で描いている [画像はこちらから]。
そこでの詞書を読む限り、人心を解読できるが故に、その危険を察知し、事前に逃亡を謀る。本来は、とても臆病な妖怪である様に解読できる。
そして、それ故に、我々の殆どがさとり (satori) に遭遇出来ない理由となっているのである。

次回は「」。

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