2017.07.16.08.59

『プリーズ・リクエスト (WE GET REQUESTS)』 by オスカー・ピーターソン・トリオ (THE OSCAR PETERSON TRIO)

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箸にも棒にもかからないと謂う表現があるが、誤解を畏れずに綴ってしまえば本作がまさにそれだ。
つまり、ぼく自身の中で、この作品をどう位置付けていいのかまるっきり見当がつかない、と謂いたい訳なのだ。

オスカー・ピーターソン (Oscar Peterson) のアルバムをぼくは、もう1枚もっている。
ザ・トリオ / オスカー・ピーターソン・トリオの真髄 (The Trio)』 [1961年発表] だ。
メンバーも全く同じ。レイ・ブラウン (Ray Brown : b)、エド・シグペン (Ed Thigpen : dr) そしてオスカー・ピーターソン (Oscar Peterson : p)。

で、多分、作品として好きなのは『プリーズ・リクエスト (We Get Requests)』 [1964年発表] ではなくて、こちらの方なのだ。
にも関わらずに、聴いている回数は圧倒的にそちらではなくて、もう一方の作品なのである。

ザ・トリオ / オスカー・ピーターソン・トリオの真髄 (The Trio)』を好きな理由は、ぼくの中では単純明快だ。
とても黒い。
それだけなのだ。

そして、その対極にあるのが『プリーズ・リクエスト (We Get Requests)』と謂う作品なのである、少なくともぼくにとっては。

演奏がはじまると、つるつるっと次から次へと曲が流れ、そしてそのまま終わってしまう。
関心するところや感動するところは全然にない。
勿論、その逆も一切、ない。

絵に描いた様な名演が、絵に描いた様な名曲を、送り出している。
邪魔になるところは一切になく、気がつけば全10曲は終わっている。
それだからこそ、ぼくは逆に困る。

カクテル・ジャズだとかイージー・リスニングだとか蔑称は幾らでも浮かぶが、それをくちにするのは憚れる。

教科書の様だとか謂うのは簡単だが、ではそのどこをぼく達がお手本にすればいいのか解らない。ここで聴かれる演奏をそのまま誰かがそっくりそのまま演奏するのを、ぼく達がじっと耐えて聴いている事が出来るのだろうか。

名匠が、超絶技巧の修行の果てに辿り着いた、究極のわざと謂うのも簡単だが、それを実際に言葉にした際に、それを裏付けるモノをこのぼくは一切、もっていない。

彼等が長年、共演してきたジョー・パス (Joe Pass : g) やエラ・フィッツジェラルド (Ella Fitzgerald : vo) がここにいてくれたらなぁと、ふと思ってしまう。
その方が、いろいろなモノがたち顕れて、幾らでも語る事が出来そうだ。

オスカー・ピーターソン (Oscar Peterson) に物語はない。
勿論、丹念に彼の生涯を追っていけば、それは幾らでも紡ぐ事が出来るのかもしれないが、それとは別の次元で彼は演奏している。
技巧的なモノ、技術的なコトを追求しようとすれば幾らでも出来るのだろうが、そこにきっと解答はない。

だから何度も何度もこの作品を聴いて、そのたびにぼくは困惑する。
否定する言説は幾らでも翻弄出来るだろう。
その逆の、絶賛する台詞だってとてつもなく簡単だ。
でもそのいずれを選んだとしても、借り物の、どこの誰もが語り得る、常套句を並べるだけの事しか出来ない。陳腐で退屈、しかもとても怠慢な作業だ。

例えば、上に登場している「名曲」とか「名演」と謂う語句がそれだ。それらは、様々な言説を補完してはくれるだろうが、それらがそこで保障しているモノは何もない。

それが一番、つまらない。

敢えてひとことだけ綴れば、アルバム・ジャケットの下半分、薄闇の中に沈む聴衆の佇まいが気に入っている。

ものづくし(click in the world!)177. :
『プリーズ・リクエスト (WE GET REQUESTS)』 by オスカー・ピーターソン・トリオ (THE OSCAR PETERSON TRIO)


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プリーズ・リクエスト (WE GET REQUESTS)』 by オスカー・ピーターソン・トリオ (THE OSCAR PETERSON TRIO)

演奏・録音共に最高の質を誇るオスカー・ピーターソン永遠のベスト・セラー!
スイングジャーナル誌 ジャズ・ディスク大賞「最優秀録音賞」受賞作。
パーソネル:オスカー・ピーターソン (p)、レイ・ブラウン (b)、エド・シグペン (ds)
196410月1920日録音。

1. コルコヴァード (2:51)
 Quiet Nights Of Quiet Stars (Corcovado) (Corcovado)
 Jobim / Lees ... BMI
2. 酒とバラの日々 (2:42)
 The Days Of Wine And Roses
 Mercer / Mancini ... ASCAP
3. マイ・ワン・アンド・オンリー・ラヴ (5:11)
 My One And Only Love
 Wood / Mellin ... ASCAP
4. ピープル (3:34)
 People
 Merrill / Styne ... ASCAP
5. ジョーンズ嬢に会ったかい? (4:15)
 Have You Met Miss Jones?
 Rodgers / Hart ... ASCAP
6. ユー・ルック・グッド・トゥ・ミー (4:50)
 You Look Good To Me
 Lefco / Wells Jr. ... BMI
7. イパネマの娘 (3:55)
 The Girl From Ipanema
 Gimbel / Jobim / DeMoraes ... BMI
8. D. & E. (5:16)
 D. & E.
 Lewis ... BMI
9. タイム・アンド・アゲイン (4:41)
 Time And Again
 Smith ... ASCAP
10. グッドバイ J.D. (2:58)
 Goodbye J.D.
 Peterson ... BMI

Oscar Peterson (p), Ray Brown (b), Ed Thigpen (ds)

1. 5. 7. Rec. NYC, October 19, 1964
2. 3. 4. 6. 8. 9. Rec. NYC, October 20, 1964
10. Rec. NYC 1964

Director of Engineering : Val Valentin
Recording Engineer : Bob Simpson
Produced by JIM DAVIS

(P) (C) Metro-Goldwyn-Mayer, Inc.

ぼくの所有している日本盤CDには油井正一 (Shoichi Yui)の解説 [「この解説は73年発売のレコードより転載したものです」とある] が添付されている。
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