2017.03.07.11.20

てつお

実写ではない方。
男 (Man) ではなくて雄 (Male)。
塚本晋也 (Shinya Tsukamoto) の、ではなくて大友克洋 (Katsuhiro Otomo) の作品。

今回は、映画『鉄男 (Tetsuo : The Iron Man)』 [塚本晋也 (Shinya Tsukamoto) 監督作品 1989年制作] ではなくて、マンガ『アキラ (Akira)』 [作:大友克洋 (Katsuhiro Otomo) 19821990週刊ヤングマガジン連載] での登場人物、島鉄雄 (Tetsuo Shima) について綴る事にする。

島鉄雄 (Tetsuo Shima) は、その作品の主人公だ。
一般的には金田正太郎 (Shotaro Kaneda) が主人公であると看做されているがそうではない。
物語はこのふたりの確執と対立、そして対決へと動いていくが、それを牽引しているのは金田正太郎 (Shotaro Kaneda) ではなくて島鉄雄 (Tetsuo Shima) の方なのだ。
金田正太郎 (Shotaro Kaneda) は最初から最期まで、この物語に巻き込まれて翻弄されているばかりで、決して物語に於ける能動的な主体ではない。
勿論、彼自らが決断し、彼自らが行動する局面は数々ある。しかし、よくみてみよう。彼の決断、彼の行動のその向こうには常に、島鉄雄 (Tetsuo Shima) が存在しているのだ。
彼は物語の最初から最期までずっと、島鉄雄 (Tetsuo Shima) を凝視め続け、島鉄雄 (Tetsuo Shima) の行方を追っているのに過ぎない。

物語冒頭での暴走シーン、いつもはトップをはしる金田正太郎 (Shotaro Kaneda) を差し置いて、島鉄雄 (Tetsuo Shima) が先頭をきる。その直後に島鉄雄 (Tetsuo Shima) は不測の事態に巻き込まれる訳だが、それと同じ。
それ以降、物語の構造上では、金田正太郎 (Shotaro Kaneda) は彼の後塵を拝すばかりなのだ。そして、彼を追うのを諦めようとはしない。

金田正太郎 (Shotaro Kaneda) にそこまでをさせる島鉄雄 (Tetsuo Shima) とは一体、彼にとって何なのか?

金田正太郎 (Shotaro Kaneda) と島鉄雄 (Tetsuo Shima) の間には何があるのか、もしくは何があったのかは、実は明確には描写されてはいない。ふたりの所属するグループの中で、前者がリーダー的に振る舞い周囲からもそう看做されている一方で、後者はふたつもみっつも格下に扱われている。と、謂うのはそのグループ内の描写で誰にも薄々と気づかされる。
しかし、気づかされてはいるが、それがあからさまなモノと指摘されてはいない。それを注視する以前に、ぼく達は彼等と同様、すぐにアキラ (Akira) と謂う大きな物語に巻き込まれてしまうからだ。

仮にこの物語が、週刊少年ジャンプ (Weekly Shonen Jump) のナラトロジー (Narratology) に忠実であるのならば、物語のどこかで過去のふたりの物語にフラッシュ・バック (Flashback) する筈だ。そして、そこでふたりの出逢いとふたりの属するグループの生成されていく過程が、延々と語られていたのに違いない。
しかし、この物語が連載されたのは週刊ヤングマガジン (Weekly Young Magazine) であって、作者は大友克洋 (Katsuhiro Otomo) だ。
ふたりの物語は決して過去へと遡らない。ただひたすら、彼等の現在に拘泥するだけだ。

images
敢えて指摘すれば上のシーン。このわずか3齣で、このふたりのかつての関係性とその変質、そしてこれからの予兆を総て物語らせているとも謂える [上掲画像はこちらから]。

だから、物語の最後の最後、どん詰まりで、断片的に登場する、これまで一度も語られる事のなかったふたりの過去をみて、ぼく達は吃驚してしまう。
そして気づく。
陳腐な語句しか浮かばないが、この物語の主題のひとつは、金田正太郎 (Shotaro Kaneda) と島鉄雄 (Tetsuo Shima) との友情であるのだ、と。

次回は「」。

附記:
マンガの島鉄雄 (Tetsuo Shima) と映画の鉄男 (Tetsuo) と、一体どちらが先なのかといつも悩む。作品の発表年だけに注目すれば、前者の方が先の登場なのだが、島鉄雄 (Tetsuo Shima) が周囲のものを巻き込んで肥大化する以前に、映画『鉄男 (Tetsuo : The Iron Man)の前駆的作品である映画『普通サイズの怪人 (The Phantom Of Regular Size)』 [塚本晋也 (Shinya Tsukamoto) 監督作品 1986年制作] は発表されている。そこで既に物語の登場人物は金属と融合し始めているのだ。
ちなみに、島鉄雄 (Tetsuo Shima) が融合するのは原作であるマンガ作品よりも先に、そのアニメ化である映画『アキラ (Akira)』 [大友克洋 (Katsuhiro Otomo) 監督作品 1988年制作] で行なわれている。
それを劇場で体験したぼくには妙な既視感 (Deja Vu) があったのだ。
関連記事

theme : ふと感じること - genre :

i know it and take it | comments : 0 | trackbacks : 0 | pagetop

<<previous entry | <home> | next entry>>

comments for this entry

only can see the webmaster :

tackbacks for this entry

trackback url

http://tai4oyo.blog108.fc2.com/tb.php/2237-7f73db9e

for fc2 blog users

trackback url for fc2 blog users is here