2017.02.19.09.59

『エクストラ・ウィドゥス (extra width)』 by ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョン (the jon spencer blues explosion)

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バンドがブレイクしたのは次作『オレンジ (Orange)』 [1994年発表] だ。そして、前作『ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョン (The Jon Spencer Blues Explosion)』 [1992年発表] はなにをやりたいのかよくわからなかった。
では、その間にある本作であるセカンド・アルバム [1993年発表] は?

と、謂うのは、バンド名に冠せられている男、ジョン・スペンサー (Jon Spencer) が所属していたバンド、プッシー・ガロア (Pussy Galore) が最高にして最強だったからだ。
そのバンドはあっと謂う間にシーンに躍り出て、あっと謂う間にシーンの動向を左右して、あっと謂う間に幾つもの問題作を発表し、あっと謂う間もなく解散してしまった。1985年から1990年、この間に7枚ものアルバムを発表している。

だけれども、そのバンドが死に急ぐ様に駆け抜けていったその理由もなんとなく解る。そうせざるを得ない様な、そうならざるを得ない様な、方法論と思考回路に満ちていた音楽だったのだから。
極端な表現をすれば、ロックンロール (Rock And Roll) の歴史とその間に試みられたありとあらゆる試みを、その短いバンドの歴史の中に凝縮させてしまったかの様なモノだったのだから。

ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョン (The Jon Spencer Blues Explosion) はそんなプッシー・ガロア (Pussy Galore) が悶絶死した後に、登場した。
そして、ぼくは動揺した。

ブルース (Blues) ってなに?

いや、勿論、音楽としてのブルース (Blues) は知っている。
だけれども、そのバンド名の中にたち顕れているそれは、そのブルース (Blues) ぢゃあないだろう?

パンク (Punk) をロックンロール (Rock And Roll) への原点回帰と評価すれば、そのパンク (Punk) はそのロックンロール (Rock And Roll) の原点のひとつでもあるブルース (Blues) を巧妙に回避した。そればかりか、そのブルース (Blues) を原点と謳う、自身からみたひとつ前の世代を仮想敵として設定した。
単純に謂ってしまえば、もうローリング・ストーンズ (The Rolling Stones) やレッド・ツェッペリン (Led Zeppelin) の出る幕なんかないぜ、と謂う認識だ。

そんな事に気づいてしまえば、そしてそれを前提にして考えれば、このバンド名に顕れているそれはあまりに異例だ。異形とも奇形とも呼んでも構わないのかもしれない。

その名前を知ったその時にぼくの脳裏を掠めたのはふたつの事だ。
ニック・ケイヴ (Nick Cave) はブルース (Blues) だ。
では、トム・ウェイツ (Tom Waits) は?
そして、それに対する明答も未だに得られていない。
得られていないままに、1年が経過し、本作が発表された。

[勿論、その解答は未だにない。ないけれども、このバンドはどちらの方に与しているかと謂う問いは、誰にとっても解決済みだと思う。]

強靭なリズム。本作品を覆っているのはそれだ。
けっして派手な作品ではないが、魅力的なリズムが全編を覆う。
まるで、潤滑油の途切れた自転車で坂道を昇りつめる様な快感だ。

だから、第3作『オレンジ (Orange)』 [1994年発表] が発表された際は吃驚した。
ぼくはもう暫く、その自転車とつきあうつもりだったのに、彼等は段違いの登坂力を得てしまった様だったから。
置き去りにされたとはまさにこの事なのである。

ものづくし(click in the world!)172. :『エクストラ・ウィドゥス (extra width)』
by ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョン (the jon spencer blues explosion)


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エクストラ・ウィドゥス (extra width)』 by ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョン (the jon spencer blues explosion)

シーンを動かす'90年代ブルース・ロックの雄。'93年発表の2ndアルバム。
日本盤のみボーナス・トラック2曲収録。
歌詞対訳付 解説:佐々木敦

1. アフロ
 afro
2. ヒストリー・オブ・ライズ
 history of lies
3, バック・スライダー
 back slider
4. ソウル・レター
 soul letter
5. ソウル・タイプキャスト
 soul typecast
6. パント・レッグ
 pant leg
7. ヘイ・マム
 hey mom
8. ビッグ・ロード
 big road
9, トレイン #2
 train #2
10. インサイド・ザ・ワールド・オブ・ザ・ブルース・エクスプロージョン
 inside the world of the blues explosion
11. ザ・ワールド・オブ・セックス
 the world of sex
*日本盤ボーナス・トラック (*extra tracks for japan only)
12. ビート・オブ・ザ・トラップス
 the beat of the traps
13. メンフィス・ソウル・タイプキャスト
 memphis soul typecast

recorded in memphis at easley recording. nov 23 24 '92
and in nyc at waterworks recording. jul 30 and dec 3 '92
mixed at waterworks. jan '93
engineered by doug easley and davis mcCain (memphis)
and jim waters (nyc).
produced by jon spencer
photos by r. kern
all songs by spencer / explosion. copyright control
thanks to peter arsenault, boche billions, christina, jeff evans,
larry hardy, robert gordon, jenna, the jesus lizard, cheryl payne,
ken pope and tim warren.
c p 1993 jon spencer / blues explosion

original liner-notes by herb hills bad vibe magazine

ぼくが所有している国内盤は、佐々木敦 (Atsushi Sasaki) による解説とアキヤマ・シスターズ・インク (Akiyama Sisters Inc.) による対訳、アリソン・スミス (Allison Smith)撮影のメンバー写真が掲載されている。
オリジナル盤であるところの米マタドール (Matador Records) 盤もある筈なんだけど、捜し出せなかった。
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