2017.02.07.10.03

ぜいりぶ

うんざりする様な、やるせのない様な映画。
この作品をひとことで表現しようとすると、そんなネガティヴな単語ばかりがずらずらと出てきてしまう。
しかし、この場合、そんなネガティヴな単語が必ずしも、作品の存在を否定したり非難したり批判したりする為の語句として機能しようとはしない。
何故ならばこの作品を語る場合に於いて、それらの単語が褒め言葉して機能しているからなのだ。

映画『ゼイ・リブ (They Live)』 [ジョン・カーペンター (John Carpenter) 監督作品 1988年制作] は、形こそサイエンス・フィクション (Science Fiction) と謂う文法に則ってはいるが、本来的には文明批判 (Civilization Criticism) / 現代批判 (Present Criticism) の作品である。

物語上、悪の存在、侵略者としての存在、そしてもしかしたら支配者としての存在として、外宇宙から飛来したエイリアン (Alien) と謂う存在が設けられてはいるが、作品が意図しているモノは、現実の現代の社会に存在している別のモノだ。
それに気づいてしまえば、この作品を娯楽作品として正視し続ける事には、少しばかりの忍耐が必要だ。

何故ならば、映画の中で描写されている事々の殆どが、映画を観ているぼく等の、周辺にある事ばかりなのだから。
映画はそれらを解りやすく、露悪的に表出させているだけに過ぎない。
極端な話、今更、付け焼き刃の正義感に唆されて、それらを糾弾しても、仕様がないんぢゃないのとでも、囁きたくなる様なモノばかりなのだ。

何故ならば、やつらはとっくの昔に、我々と同化して同居し、そして我が物顔でぼく達を支配しているからだ。
しかし、とは謂うものの、それを可視化させる為の小道具として機能するのが、サングラス (Sunglasses) ひとつでいいのだろうか。そんな疑問も沸き起こる。

だから、そのサングラス (Sunglasses) を通じてみえる、現実生活のカリカチュアライズ (Caricaturize) ばかりが印象に遺り、映画としての結末はすぐに忘却されてしまう。
物語よりも、その設定上にある世界の描写の方が、印象に遺ってしまう作品なのだ。

中でも、ナダ (John Nada) [演:ロディ・パイパー (Roddy Piper)] とフランク (Frank Armitage) [演:キース・デヴィッド (Keith David)] の格闘シーンがその白眉だ [ここで視聴可能]。
みっともなくもみぐるしい無様ななぐりあいがだらだらと続く。爽快感 (Exhilarating) もカタルシス (Catharsis) も一切ない。リアリズム (Realism) に徹していると謂えばこの場合、褒めた事になるのかもしれないが、だけれども、それを極める必要性もみうけられない。
何故、このふたりがここで闘わなければならないのか、その理由もどこかにすっとんでいってしまっているし、この争いがどう収束し、後の物語にどう波及するのかも解らない。
ただ、このシーンをみつづける無意味さと味気なさは、この映画全体を支配しているモードを象徴しているのであろう、と謂う事だけは嫌が上でも理解させられてしまうのだ。

images
この作品の舞台設定を、地球人 (Earthian) の与り知らぬところで異星人 (Alien) が地球 (Terra) に飛来し、その生活を謳歌していると解釈し、それを極上のエンターテイメント (Entertainment) 作品へと昇華させようと試みればきっと、映画『メン・イン・ブラック (Men In Black)』 [バリー・ソネンフェルド (Barry Sonnenfeld) 監督作品 1997年制作] が出来てしまう。
その映画の主役ふたりケイことケビン・ブラウン (Kevin Brown / Agent K) [演:トミー・リー・ジョーンズ (Tommy Lee Jones)] とジェイことジェームズ・エドワーズ (James Darrell Edwards III / Agent J) [演: ウィル・スミス (Will Smith)] がサングラス (Sunglasses) をかけている事も含めて、だ。

そして、彼等の飛来目的を多少、匙加減を変えてみれば、TV番組『ウルトラQ (Ultra Q)』 [1966TBS系列放映] の第21話『宇宙指令M774 (Space Directive M774)』 [監督:満田かずほ 脚本:上原正三 特技監督:的場徹] になってしまう。

次回は「」。

附記:
ムック『新映画宝庫 Vol.4 スタークラッシュ 大宇宙映画放浪編 (Starcrush)』 [2002大洋と所 新映画宝庫刊] によれば、上に紹介したナダ (John Nada) [演:ロディ・パイパー (Roddy Piper)] とフランク (Frank Armitage) [演:キース・デヴィッド (Keith David)] の格闘は、映画『赤い河 (Red River)』 [ハワード・ホークス (Howard Hawks) 監督作品 1948年制作] でのトーマス・ダンソン (Thomas Dunson) [演:ジョン・ウェイン (John Wayne)] とマシュウ(マット)・ガース (Matthew "Matt" Garth) [演:モンゴメリー・クリフト (Montgomery Clift)] の乱闘からの引用だそうだ。
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