2016.12.18.10.43

『ライヴ (Live)』 by ダニー・ハサウェイ (Donny Hathaway)

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アーティスト自身の代表作であるばかりでなく、その当時のシーンや彼の音楽の属するジャンルを象徴する歴史的名盤と謂うのが一般的な位置づけである。
でも、だからと謂って所謂、名唱や名演が収録されていると謂うのとは、違うのではないのかなぁと個人的には思うのだ。

いや、その作品を素直に聴けば、この作品は、名唱名演の宝庫ではあるのだろう。
だけれども、この作品が評価されているのはそれが唯一の理由ではないのではなかろうか。

この作品に込められている雰囲気、もしくは、この作品を押しつつむ感情、それがとても愛おしく響いて聴こえる。
そしてそれが本作品への評価へと繋がっているのではないか。

端的に謂えば、聴衆の声や反応がその起因となっているのかもしれない。
歓声や嬌声、手拍子、そして楽曲を促す合唱。だが、それはどんなライヴ収録作品のどこにも潜んでいるモノだ。
だけれども、幾つもある名盤とされるライブ音源と如実に峻別するモノが、この作品にはある。
しかし、それを的確に指摘出来る語句が、何故だかぼくには発見できないのだ。

アトモスフィア (Atmosphere) と謂うのは簡単だ。
作品全体をおしつつむそれは、とてもあたたかいものだ。
ではそれは一体、どこから産まれているのだろう。

アーティストの不幸な死が、この作品のどこかに反照していると謂うのはもっと簡単だ。
彼は本作発表7年後の1979年に、亡くなっているからだ。自死とも噂されている。

でも、それは彼の死後にこの作品に向かうぼく達だからこそ抱く印象であって、リアルタイムでこの作品を体感した人々はどうなのだろうか、と謂う疑念は幾らでも沸いてくる。

全8曲の収録曲の中、3曲がカヴァーだ。しかもどの曲も本作品が収録された1971年当時、発表されたばかりの楽曲である。
マーヴィン・ゲイ (Marvin Gaye) の『ホワッツ・ゴーイン・オン (What's Going On)』 [アルバム『ホワッツ・ゴーイン・オン (What's Going On)』収録 1971年発表]、キャロル・キング (Carole King) の『君の友だち (You've Got A Friend)』 [アルバム『つづれおり (Tapestry)』収録 1971年発表]、そしてジョン・レノン (John Lennon) の『ジェラス・ガイ (Jealous Guy)』 [アルバム『イマジン (Imagine)』収録 1971年発表]。
この3曲のどれもが、オリジネイターの極めて個人的なところから創造された極めて個人的な立場に立った楽曲だ。だから、通常はおいそれとカヴァーできる代物ではない [にも関わらずに、このどれもがよくカヴァーされている]。

マーヴィン・ゲイ (Marvin Gaye) の『ホワッツ・ゴーイン・オン (What's Going On)』 [アルバム『ホワッツ・ゴーイン・オン (What's Going On)』収録 1971年発表] は、歌詞だけを読むと告発 (Prosecution) の歌であり啓蒙 (Enlightenment) の歌でもある。
オリジネイター自身の作品は、その歌唱とアレンジでそこだけにはとどまってはいない。だから、誰の胸をも打つ。この楽曲がひろく聴かれ、そして広く唄われる所以はおそらく、そこにある。

では、本作品に収録されたダニー・ハサウェイ (Donny Hathaway) のカヴァー『ホワッツ・ゴーイン・オン (What's Going On)』は、どうなのか。
ぼくには、そこに告発 (Prosecution) や啓蒙 (Enlightenment) とは別のモノがある様に思える。
それは、いつくしみ (Mercy) と表現されるべきものだ。

そして、そのいつくしみ (Mercy) が、本作品全体をおしつつんでいるモノの正体ではないだろうかと、思うのだ。

ものづくし(click in the world!)170. :『ライヴ (Live)』 by ダニー・ハサウェイ (Donny Hathaway)


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ライヴ (Live)』 by ダニー・ハサウェイ (Donny Hathaway)

Forever Young Series
70年代の新しいソウル、ブラック・ミュージックを創造し、憔悴しきって他界したダニー・ハサウェイ
極めつけの傑作ライヴ・アルバム(71年度作品)!
この作品を聴かずしてダニーは語れない ...。
■録音:ハリウッドトルバドール)、N.Y.ビター・エンド

1. 愛のゆくえ
 WHAT'S GOIN' ON
 (By Marvin Gaye, Alfred Cleveland & Renaldo Benson : Jobete. BMI. Time 5:17)
2. ゲットー
 THE GHETTO
 (By Donny Hathaway & Leroy Hutson : Don Pow / Southern. BMI. Time 12:18)
3. ヘイ・ガール
 HEY GIRL
 ( By Earl DeRouen : Don Pow. BMI. Time 4:02)
4. きみの友だち
 YOU'VE GOT A FRIEND
 (By Carole King : Screen Gems - Columbia. BMI. Time 4:33)

Recorded live at the Troubadour in Hollywood.
Recording engineer : Ray Thompson for Wally Heider Studios.
PRODUCED BY ARIF MARDIN

5. リトル・ゲットー・ボーイ
 LITTLE GHETTO BOY
 (By Earl DeRouen & Edward Howard : Don Pow. BMI. Time 4:32)
6. ウィ・アー・スティル・フレンズ
 WE'RE STILL FRIENDS
 (By Donny Hathaway & Glenn Watts : Kuumba. ASCAP. Time 5:15)
7. ジェラス・ガイ
 JEALOUS GUY
 (By John Lennon : Maclen. BMI. Time 3:09)
8. エヴリシング・イズ・エヴリシング
 VOICES INSIDE (EVERYTHING IS EVERYTHING)
 (By Richard Evans, Philip Upchurch & Ric Powell : Don Pow / Simba. BMI. Time 13:40)

Recorded live at the Bitter End in New York.
Recording engineer : Tom Fly for Record Plant.
PRODUCED BY JERRY WEXLER & ARIF MARDIN

(C) 1971 Atlantic Recording Corporation

The personnel is : Donny Hathaway, vocals electric piano & organ. Phil Upchurch, lead guitar on Side One. Cornell Dupree, lead guitar on Side Two. Mike Howard, guitar. Willie Weeks, bass. Fred White, drums.
Earl DeRouen, conga drums.
Bass solo during Voices Inside (Everything Is Everything) is taken from a performance recorded at the Troubadour in Hollywood.
members of the band sing backing vocals on Little Ghetto Boy and Jealous Guy.

All the arrangements are by Donny Hathaway.

Remixed by Arif Mardin
Front cover photo : Jim Cummins
Backliner photo : Merrill A. Roberts, Jr. (C) 1971
Inside liner photo, album design & art direction : Jeffrey Blue Harbinger, Washington. D.C.
Hand lettering by Terry Dale

Phil Upchurch appears on this album through the courtesy of Blue Thumb Records.

ぼくが所有している国内盤CDには、「1989. 鈴木啓志」と「ピーター・バラカン 1989年9月」の署名のある解説が封入されている。
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