2016.12.06.10.14

うちゅうせんかんやまと

ぼくが棲んでいた地域では、リアルタイムでの放映はなかったんぢゃないかな、確か。で、しばらくしてアニメ放送枠である18時台に放映された筈なんだ。
ただ、放送はされなかったとしても、そんなアニメ番組の情報はどんどんと入ってくるわけだ。行きつけの近所の本屋の、幼児向けの絵本コーナーか何かで、宇宙空間を彷徨う巨大な戦艦が表紙の本を観た記憶がある。
そして、それを観たぼくはこころの中でせせら嗤った筈だ。
今時、轟天号 (Gotengo) [映画『海底軍艦 (Atragon)』 [本多猪四郎 (Ishiro Honda 監督作品 1963年制作] やマイティジャック (Mighty Jack) [テレビ番組『マイティジャック (Mighty Jack)』 [1968フジテレビ系列放映] でもあるまい、と。

そんな記憶がぼくの片隅にあるから、そのアニメ番組が18時台に放映された際も、なにも思う事はなかった。但し、他にみるモノがない。
他チャンネルは、当時としてはモノ珍しい1時間枠の報道番組かさもなければ人形劇だ。しかも、ちょうど夕食時で、手と口はそれに忙しい。
そんな環境で観たのがテレビ番組『宇宙戦艦ヤマト (Space Battleship Yamato)』 [19741975讀賣テレビ放送系列放映] だった。

その番組は、誰もが知る様に、我が国のアニメ史になくてはならぬモノを築き上げるのだが、それは勿論、その後の話。そして、しかも、現在のぼくの視点からみると、何故、この番組がその様な地位を得たのか、未だに理解に苦しむ。

と、謂うのも、この番組の面白さは、物語の冒頭にその殆どが集中していて、その遺りは徒らにそれを蕩尽しているだけの様に、ぼくには想えるからだ。
もし仮に、その部分だけを抽出してさらに丁寧に映画化した作品が大ヒットしたのならばともかく、実際の映画『宇宙戦艦ヤマト (Space Battleship Yamato)』[舛田利雄 (Toshio Masuda) 監督作品 1977年制作] は、テレビ作品のダイジェスト版であるだけで、しかも、ぼくの観たい物語の冒頭部は要約に要約を重ねているだけなのだ。
[何故そんな作品が大ヒットしたのかは、おそらく、テレビ番組のファンの誰もが皆、映画と謂う巨大な映像で追体験したかったから、なのだろう。]

ぼくが当時、この番組に興味をもったのは、物語における人類が絶滅の危機にあると謂う過酷な状況設定があるからなのだ。
それは当時、隆盛を極めていた、永井豪 (Go Ngai) 原作によるアニメ番組とは如実に違う。そこには侵略者 (Invader) こそ存在はするが、毎週、彼等の侵略を専守防衛 (An Exclusively Defensive Security Policy) に徹していればよかったのだ。侵略者(Invader) は地球征服 (World Conquest) をこそ謳ってはいるが、その様相は局地戦 (Limited War) でしかない。彼等が攻撃をするのは、彼等からみた抵抗勢力 (Forces Of Resistance) の前線基地 (Frontline Base) ばかりなのだった。
逆説的な表現をすれば、テレビ番組『ウルトラマン (Ultraman)』 [19661967TBS系列放映] の第32話『果てしなき逆襲 (The Endless Counterattack)』[監督:高野宏一 (Koichi Takano) 脚本:藤川桂介 (Keisuke Fujikawa) 特技監督:鈴木俊継 (Toshitsugu Suzuki)] での台詞「[日本の3大名物は] 地震・怪獣・ウルトラマン (Eathquake, Kaijyu and Ultraman)」 [つまり他国には怪獣 (Kaiju) が出没しないのと同様にウルトラマン (Ultraman) が登場せざるを得ない危機的状況が皆無である] と同様の事態が、その作品群では起きていたのだ。

それを前提にみれば、テレビ番組『宇宙戦艦ヤマト (Space Battleship Yamato)』は違う。しかも、番組の最終カットでアナウンスされる「人類の絶滅まで、あと○○○日 (With Humanity's Extinction Estimated In xxx days)」と謂う台詞がさらに、過酷な状況をぼく達に伝えてくれるのだ。

人類を救う為にサーシャ (Sasha Iscandar) が飛来する事、そして彼女がもたらした設計図で波動エンジン (The Wave Motion Engine) が組み立てられる事、そのエンジンを起動してワープ航法 (Warp Drive) を試みる事。
そのひとつひとつの挿話は、人類に遺されたわずかな時間を克服する手段のひとつではあるのだけれども、それと同時に、そのひとつひとつが人類にとって大きな障壁なのだ。
人類の絶滅まで、あと○○○日 (With Humanity's Extinction Estimated In xxx days)」と謂う限られた僅かな猶予の中で、宇宙戦艦ヤマト (Space Battleship Yamato) は14万8000光年 (148 Thousands Light-year) を往復しなければならない。
しかも、敵ガミラス (Gamilas) はその攻撃の手を休めない。

そんな物語の緊張の強度の行く末に、ガミラス冥王星前線基地 (The Gamilas' Frontline Base On Pluto) との死闘があって、ぼくがテレビ番組『宇宙戦艦ヤマト (Space Battleship Yamato)』の物語を堪能していたのは、そこまでだ。

images
上掲画像 [原画:小松崎茂 (Shigeru Komatsuzaki)] では、宇宙戦艦ヤマト (Space Battleship Yamato) の中央部を円環状に小惑星 (Asteroid) が飛翔しているが、これは第9話『回転防禦!!アステロイド・ベルト!! (The Asteroid Ring)』を図象化したモノ。ぼく個人としてはここらで最終回でもいいくらいなのだ。

人類の絶滅まで、あと○○○日 (With Humanity's Extinction Estimated In xxx days)」と謂う期限と14万8000光年 (148 Thousands Light-year) と謂う旅程には一切変更はないが、少なくとも人類はワープ航法 (Warp Drive) が可能となった上に、どうした訳か敵ガミラス (Gamilas) は宇宙戦艦ヤマト (Space Battleship Yamato) しか攻撃しようとしないのだ。
これでは、他のアニメ番組の設定とは、あまり変わらない。

太陽系方面作戦司令長官ドメル将軍 (General Domel In Charge Of The Campaign Against Earth) や総統デスラー (Lord Desler) の稚拙な作戦を [と謂うかそれを迎合させた番組制作陣の稚拙さを] 逐一指摘してもいいのだが、それは別の稿に譲る。

次回は「」。

附記 1. :
映画『宇宙戦艦ヤマト (Space Battleship Yamato)』のヒットを受けて、後に幾つもの宇宙戦艦ヤマト (Space Battleship Yamato) を主人公として物語は創られ続けるけれども、上に記した様な意味をもって、ぼくには殆ど興味はない。
寧ろ、その前日譚 (Prequel) はないのかなぁと思っている。
つまり、宇宙戦艦ヤマト (Space Battleship Yamato) 建造の物語。
ガミラス (Gamilas) の最初の攻撃とその防衛の物語や、人類の地球脱出すなわちノアの方舟 (Arca Noe) としての宇宙戦艦ヤマト (Space Battleship Yamato) の建設計画や、サーシャ (Sasha Iscandar) のもたらした波動エンジン (The Wave Motion Engine) 設計図に基づく設計変更、そう謂った諸々の物語だ。
だから、古代進 (Susumu Kodai) と嶋大介 (Daisuke Shima) の宇宙戦艦ヤマト (Space Battleship Yamato) への着任をもって物語の幕が引かれる事となる。

附記 2. :
上に記した様に、テレビ番組『宇宙戦艦ヤマト (Space Battleship Yamato)』の物語の強度が損なわれるのは、宇宙戦艦ヤマト (Space Battleship Yamato) が太陽系 (Solar System) 圏外へと至って以降だ。
ところで、作者を同じく松本零士 (Leiji Matsumoto) とするマンガ『銀河鉄道999 (Galaxy Express 999)』 [19771981少年キング連載] でも、同様の事態が出来している様な気がする。しかし、ここではテレビ番組『宇宙戦艦ヤマト (Space Battleship Yamato)』とは別の方向、その物語はより自由に発想を飛翔させている様にも想える。
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