2016.11.29.10.10

なっとう

「無理して食べることはないからな。嫌いなものは俺のところにもってこい。好きなやつは逆に取りにこい」

この台詞を聴くのも今朝で2度目だ。初めて聴いたのは昨夜の夕食だ。
そして、それから3年間、事ある毎に聴く羽目になる。
そう発言したのは、ぼくの高校の数学教師、当時は担任でもある。

ぼくの通った高校は、公立の普通科の新設校で、建前上は進学校だ。地元の国立大学への現役入学、その実績を上げる事が、そこに勤める教師達の、当面の必須の課題だ。
そして、その為の、手っ取り早い手段として、課外授業や課外合宿が幾つも、スケジュールされていく。全校、学年全体、希望者、有志、そして教師からの指名、時季や規模やカリキュラムの濃密はその都度によって様々だ。

そして、上の発言を初めて聴く羽目になったのは、入学したばかりの新1年生全員参加の2泊3日の合宿時での事だ。
その施設から供される食事時間での事なのである。

そして、その発言直後に、わらわらと至る所から生徒各自の苦手な食材が彼の手許に集まり、そしてその幾つかは他の生徒の許へと引き取られていく。
昨夜のぼくも数品を、彼の許から引き取って、満たされぬ育ち盛りの腹を埋め合わさせてもらった。

そして今朝、昨夜とおなじ彼の発言を聴いて、複雑な心境になっている。
彼の発言に素直に反応すれば、山盛りに盛られた白飯と味噌汁1杯しか遺らない。あれもこれも嫌いな食材ばかりなのだ。
白飯1膳と味噌汁1杯では絶対に、午飯までもたないだろう。

いや、それ以前に、出逢って数週間も立たない担任の言い草に従順になってどうする、と謂う逡巡もある。敵とも味方とも解らぬやつに、己の弱みをみせびらかせて一体、どうするというのか。

だから全部、喰ってやった。
喰えないのではない、嫌いなだけだからだ。

無愛想な発砲スチロールの容器を開ければ、半透明の紙が敷かれていて、その下に観るのも悍ましいそれが鎮座している。
だが、それだけだ。

自宅で供されるそれは、食卓のほぼ中央、丼に山盛りになっている。
そいつを無視して他の食材にうつつをぬかしていると、親から無理やりぼくのごはん茶碗に盛り付けてくる。しかも、ご丁寧にその粘着質の物体を何度も何度も掻きまわせてさらに粘度が高くなったそれをスプーン山盛りにして擦りつける。

それを憶えば今、ぼくの手許にあるそれはとても脆弱極まりない。
だから、ひと思いに、両眼を閉じて、一挙にひとくちにしてやった。
ああ、嫌な食感だ。

images

上に掲載するのは、フランク・ザッパ (Frank Zappa) のシングル『エー! うそ~ ほんと~? (Valley Girl)』[1982年発表] 、そのB面収録曲のひとつに『いま納豆はいらない (No Not Now)』がある。2曲ともに、アルバム『フランク・ザッパの○△□ (Ship Arriving Too Late To Save A Drowning Witch)』 [1982年発表] 収録楽曲である。
尤も、上記のみっつの邦題は日本盤初登場時でのもので、現行はそれぞれ原題に準じたもの、即ち『ヴァリー・ガール (Valley Girl)』、『ノー・ノット・ナウ (No Not Now)』そして『たどり着くのが遅すぎて溺れる魔女を救えなかった船 (Ship Arriving Too Late to Save a Drowning Witch)』に改められてはいる。

次回は「」。

附記:
と、ここまで綴ってきて実は、同じ様な発想の展開をしている記事を既にここに投稿してあったのだ。
すまぬ。
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