2016.10.25.10.23

しれーぬ

妖鳥シレーヌ (Sirene) とは、マンガ『デビルマン』 (永井豪 (Go Nagai) 19721973週刊少年マガジン連載] に登場するデーモン族 (Demons) のひとり、その作品の一編『妖鳥死麗濡編 (Demon Bird Sirene)』の実質的な主人公である。

と、断定的に綴れば、各方面から異論が登場する事になるなるかもしれないが、まぁ、黙って続きを読みなさい [笑]。

『妖鳥死麗濡編 (Demon Bird Sirene)』を一編と綴ったが、この作品がケーシー・コミックス (KC : Kodansha Comics) として、初めて単行本化された際は全5巻、その第2巻丸々にこの『妖鳥死麗濡編 (Demon Bird Sirene)』を費やしている。つまり、作品の1/5を占めるおおきなエピソードなのである。

ついでに指摘しておけば『妖鳥死麗濡編 (Demon Bird Sirene)』はたったの1日の出来事である。
しかも、物語の予兆としての不動明 (Akira Fudo) と牧村美樹 (MIki Makimura) の登校シーンが冒頭にあるだけで、後はその晩から夜明けまでの出来事なのである。
その一夜を費やしての妖鳥シレーヌ (Sirene) とデビルマン (Devilman) との格闘、それを描くのが『妖鳥死麗濡編 (Demon Bird Sirene)』だ。

しかも、そこでの主人公を、本来の主役である不動明 (Akira Fudo) = デビルマン (Devilman) をおいて、それに敵対する妖鳥シレーヌ (Sirene) を実質的な主人公であると、ぼくは断言してしまうのだ。
これに異議がある方は、もう一度、作品を読む事。そして、出来得るならば作品全編を読了した後にあらためて『妖鳥死麗濡編 (Demon Bird Sirene)』を読む事を薦める。
議論はそれが済んでからにしよう。

妖鳥シレーヌ (Sirene) は、不動明 (Akira Fudo) = デビルマン (Devilman) への最初の刺客 (Assassin) だ。
本来ならばこれから何度も何度も繰り返される事になる、デビルマン (Devilman) とデーモン族 (Demons) との最初の格闘の第1陣である。
となれば、これから描写されるべき幾つもの定型と典型が『妖鳥死麗濡編 (Demon Bird Sirene)』で語られるべきモノとなる筈だ。
これまで体験した、特撮番組やアニメ番組の第1話乃至第2話を思い描いてみよう。
それらの作品群に登場した、最初の刺客 (Assassin) と妖鳥シレーヌ (Sirene) を比較してみればいいのだ。

本来ならば、そこでは主人公である不動明 (Akira Fudo) = デビルマン (Devilman) の能力を描写すべきところだ。だが、その物語ではいつしか、不動明 (Akira Fudo) = デビルマン (Devilman) の描写よりも、妖鳥シレーヌ (Sirene) の描写へと比重が偏っていく。

images
瀕死の妖鳥シレーヌ (Sirene) の許に顕れた、デーモン族 (Demons) のカイム (Kaim) の台詞がそれを象徴している。
シレーヌ 血まみれでも君は美しい (Even Bloodstained, You Are Beautiful Sirene.)」
この一言を明示するだけでも充分だ。
『妖鳥死麗濡編 (Demon Bird Sirene)』のヒロインが彼女であると謂う証左となるだろう。

[その一方で、本来的な意味での、この作品のヒロインである牧村美樹 (MIki Makimura) は、この挿話ではまだその地位を獲得していない様に思える。勿論、彼女の棲む牧村邸の居候が不動明 (Akira Fudo) でふたりは同じ学校に通い、ここでは妖鳥シレーヌ (Sirene) 指揮下のゲルマー (Ghelmer )に溺死寸前まで追い込まれ、ゲルマー (Ghelmer) に意の侭に操られる。しかし、デーモン族 (Demons) とデビルマン (Devilman) との闘いに巻き込まれた一犠牲者、それ以上の存在にはなっていない。]

ところで、作者の永井豪 (Go Nagai) の幾つもの作品は、物語の設定がどんどんと飛躍して、読者は勿論、作者自身にとっても思いがけない展開や結末がそこに待っている場合が多い。
マンガ『デビルマン』もその典型だ。
そして、その中の一編であるこの挿話もまた同様に、思わぬ着地点へと到達してしまうのである。

読者であるぼく達は、ケーシー・コミックス (KC : Kodansha Comics) 第1巻である『誕生編 (The Birth)』において、デーモン族 (Demons) とは何かを、不動明 (Akira Fudo) と共に体験している。飛鳥了 (Ryo Asuka) 邸にある彫像をかぶることによって、デーモン族 (Demons) の世界や彼等の能力をまざまざとみせつけられた筈だ。
だが、その挿話に続く『妖鳥死麗濡編 (Demon Bird Sirene)』では悉く、既知である筈のデーモン族 (Demons) の、概念やイメージが裏切られ続ける事となる。

そして、その裏切られる事象がそのまま、その後に描かれる物語の伏線へとなるのだ。

例えば、妖鳥シレーヌ (Sirene) は不動明 (Akira Fudo) = デビルマン (Devilman) 攻略に際し、2匹のデーモン、アグウェル (Agwel) とゲルマー (Ghelmer) を引き連れる。部下なのだ。
ここでぼく達は、デーモン族 (Demons) に、指揮系統 (Chain Of Command) の存在と謂うモノを自覚させられる。謂うなれば、デーモン族 (Demons) は種族 (Spacies) と謂うよりも組織 (Organization) であり、不動明 (Akira Fudo) = デビルマン (Devilman) は、大きな組織 (Organization) に敵対するたったひとりの個人 (Individual) なのだ。それはそのまま、先行する石ノ森章太郎 (Shotaro Ishinomori) 原作の作品群での構図を想起させられる一方で『妖鳥死麗濡編 (Demon Bird Sirene)』の後に続く挿話に、魔将軍ザン (Demon General Zann) や悪魔王ゼノン (Lord Zennon) の登場を容易にさせる。

例えば、不動明 (Akira Fudo) = デビルマン (Devilman) が、絶体絶命の危機的状況を感知した飛鳥了 (Ryo Asuka) の行動だ。何故、彼がそこでそれを知りうる事が出来たのか、それはその挿話に於ては一切、語られてはいないのだが、物語のこの後、飛鳥了 (Ryo Asuka) と謂う人物の正体を廻る物語へと変転する。

しかも、この挿話の最終部に於いて、飛鳥了 (Ryo Asuka) が妖鳥シレーヌ (Sirene) を賞賛する言辞が登場するのだ。
この台詞は、彫像をかぶって得られるヴィジョンからは決して得られない、デーモン族 (Demons) への、新たな認識である。
彼はそれを一体、どこで獲得したのだろうか。
その言辞を裏付けることばは、マンガ『デビルマン (永井豪』の最終部で、飛鳥了 (Ryo Asuka) 自身のことばとして不動明 (Akira Fudo) = デビルマン (Devilman) に向けて、再び語られる事になる。

次回は「」。

附記:
妖鳥シレーヌ (Sirene) は猛禽類 (Bird Of Prey) の能力を得たデーモン (Demon) ではあるが、少なくとも原作上では白色 (White) で描写されている。
一方、デビルマン (Devilman) =アモン (Amon) は蝙蝠 (Bat) のそれであり、黒色 (Black) がベースになっている。
悪 (Evil) と善 (Good) と謂う2元論 (Dualism) の構図でみれば、この場合、悪 (Evil) =妖鳥シレーヌ (Sirene) =白 (White) であり、善 (Good) =デビルマン (Devilman) =黒 (Black) であり、通常の認識とは逆転している事になる。
マンガ『デビルマン』ではこの後、悪 (Evil) と善 (Good) と謂う一般的な認識は絶えず揺さぶられ、絶対的である筈の対立軸は相対化させら、遂には物の見事に崩壊されてしまう。
それは物語上の事だけと謂うよりも、読者であるぼく達の認識でさえも、そうなのだ。
不動明 (Akira Fudo) が、デビルマン (Devilman) のそれと同様、黒 (Black) をモチーフとした衣服を常に纏っているのはともかく、飛鳥了 (Ryo Asuka) もまた、白 (White) をモチーフとした衣服を纏っている。
それは、不動明 (Akira Fudo) との対比と謂う意味だけではない。
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