2016.10.04.11.45

めいだいまえ

4年間の大学生活の後半の2年は、仙川 (Sengawa) に棲んでいた。
最寄駅は京王線 (Keio Line) の仙川駅 (Sengawa Station) だ。
特急 (Limited Express Train) や急行 (Express Train) はおろか通勤快速 (Commuters Limited Express) も停まらない。
始発駅である新宿駅 (Shinjuku Station) から数えて、手前の千歳烏山駅 (Chitose-karasuyama Station) には急行 (Express Train) が停まり、向こうにあるつつじケ丘駅 (Tsutsujigaoka Station) には通勤快速 (Commuters Limited Express) が停まる。路線図 (Railway Map) だけをみれば、そのふたつに挟まれたエアポケット (Air Pocket) の様にみえてしまう。それが仙川駅 (Sengawa Station) だ。
[しかしそれも、2001年からは快速 (Rapid Train) が、2015年からは区間急行 (Semi Express Train) が停車する様になったから随分と、様変わりしたのに違いない。尚、以降に登場する記述は殆どの場合、ぼくの当時の記憶に基づくモノであるから、現在とは大分、異なる事も多いだろう。]

特急 (Limited Express Train) も急行 (Express Train) も通勤快速 (Commuters Limited Express) も停まらないけれども、そこには白百合女子大学 (Shirayuri University)桐朋学園大学 (Toho Gakuen School Of Music) と謂うふたつの大学がある。だから、ぎゅっと密集したかたちで、学生街 (Students' Quarter) ならではの若々しさがある。
しかもその若々しさの源は、一方が名門女子大 (Prestigious Women's University) で一方は音大 (College Of Music) だ。
その雰囲気を表現するのには若々しさだけでは物足りないのではないか。もしかすると、華やかさと謂う語句の方が相応しいのかもしれない。
街の大きさと謂う意味では、住宅地 (Compound) 然とした千歳烏山駅 (Chitose-karasuyama Station) には負けるかもしれないが、つつじケ丘駅 (Tsutsujigaoka Station) よりも、生活の利便性と謂う点では遙かに、仙川駅 (Sengawa Station) の方が上だ。
つつじケ丘駅 (Tsutsujigaoka Station) には操車場 (Classification Yard) があって、なんだかその為の駅と謂う様な認識しか抱けない。

新宿 (Shinjuku) や渋谷 (Shibuya) の都心に出るには30分強。だからと謂って、途中駅で乗り換えてもたかが知れている。上りはともかく、下りは結局、乗り換えた筈の普通列車 (Local Train) にまた乗る事になる。だから、上りは到着した列車に乗ってそのまま素直に目的地まで乗り続ければいいのだ。急いでいるのならば、下りも普通列車 (Local Train) の一番早く出発するものに乗ればいい。そうでなければ次の便で充分だ。大概、座れる。
普通列車 (Local Train) に乗って往復するには、恐らく、最大限度だろう。都心に出るのに、これがもう10分かかるとなると、通勤通学を考えれば、少し憂鬱だ。

でも、ぼくの場合、実際に通学するには、上りではなくて下りなのだった。その大学は多摩地域 (Tama Area) にあって、およそ1時間かかる。どこでどう乗り換えようと、あまり変わらない。せいぜい10数分の短縮だ。
だから、その大学に通う2年間、随分と読書に勤しめた。
このブログに綴られている殆どの素材は、この間に学んだ事ばかりにも思える。

さて、仙川駅 (Sengawa Station) に関して当時は、次の様な噂があった。
仙川駅 (Sengawa Station) に普通列車 (Local Train) しか停らないのは、京王電鉄 (Keio Corporation) の社長の娘が白百合女子大学 (Shirayuri University) の受験に失敗したからだ、と。

この噂に当時、信憑性があったのは、その噂を囁きあったぼく達が大学生だったからである。数ヶ月前もしくは数年前の受験の成否の結果が、その頃のぼく達の身分を決定しているからだ。そこに怨嗟があったとしても、誰も口を挟めるモノではない。
いや、それだけではない。ぼく達の通うその大学京王線 (Keio Line) 沿線にあり、その京王線 (Keio Line) 沿線には幾つもの大学があるからである。
しかも白百合女子大学 (Shirayuri University) と謂えば、地方出身者の男子大学生からみれば、憧れと羨望の塊の様な存在で、ぼくが仙川 (Sengawa) に棲んでいると謂うだけで、妙なあてつけをされてしまう様な大学だ。
そんな女子大 (Women's University) が何故だか、通学と謂う点に於いてのみ不遇を囲っているのが、誰にも解せないモノがそこにあったのである。
今考えてみるとさらに、通学に不便である事が結果的に、ぼく達の様な男子大学生への隔離政策の様にも思えてくる。つまり、それがぼく達の憧れと羨望をさらに煽る事にもなっていたのだ。

噂の真相は解らない。解ったところでどうしようもないし、却って解らないからこそ、そこに救いもある様な気もする。

images
京王線 (Keio Line) に関しては、この他にも理解しづらい事ばかりなのだ。
[上掲画像は、京王線 (Keio Line) 車内を舞台にしたマンガ『流星課長 (Ryusei Kacho : The Meteor Chief)』 [作:しりあがり寿 (Shiriagari Kotobuki) 1984週刊少年サンデー発表] の扉絵原画。こちらより]

桜上水駅 (Sakurajosui Station) に急行 (Express Train) が停まるのは、そこに操車場 (Classification Yard) があるからだ。
聖蹟桜ヶ丘駅 (Seiseki-sakuragaoka Station) に特急 (Limited Express Train) が停まるのは、その付近の土地や住宅を京王電鉄 (Keio Corporation) の関連会社が所有しているからだ。決して、帝京大学 (Teikyo University) があるからではない。帝京大学 (Teikyo University) に行くのには、その駅からさらに10数分、バスに乗る必要があるのだ。
と、謂う様な事は、喩え頭の中で理解できたとしても当時は、理不尽な想いばかりを反芻してしまう。
後者に関して得心がいったのは後に、猪瀬直樹 (Naoki Inose) の『土地の神話 (Tochi No Shinwa)』[1988年刊] を読んでからだ。鉄道施設とその沿線の土地開発が不分のモノである事を東急電鉄 (Tokyu Corporation)五島慶太 (Keita Goto) の事例から解読しているのだ。

今、京王線 (Keio Line) 沿線にある大学を調べてみると [例えばこちらで]、その頃に普通列車 (Local Train) しか停まらない駅にも随分と数多くの大学が現在には設けられていて、ぼくは狼狽えてしまう。
もしも仮に、あの噂を真とするのならば、当該の受験生は一体何人いて、一体いくつ受験に失敗したのだろうか。そして、その親の呪いの大きさと謂うモノばかりに目が向かってしまうのだ。
だが、安心していい。めじろ台駅 (Mejirodai Station) にある法政大学 (Hosei University)多摩キャンパス (Tama Campus) や東京家政学院大学 (Tokyo Kasei Gakuen University)町田キャンパス (Machida Campus) は、ぼく達があの大学に入学して以降に設置された施設であり、東京外語大学 (Tokyo University Of Foreign Studies)飛田給駅 (Tobitakyu Station) だけが唯一の最寄駅と謂う訳でもない。

と、謂う様に考えを巡らせていると、ひとつの大きな謎が遺る。

明大前駅 (Meidaimae Station) である。京王線 (Keio Line) の中で唯一、大学名が駅名となっている場所だ。しかも、そこは京王線 (Keio Line) と京王井の頭線 (Keio Inokashira Line) [その京王井の頭線 (Keio Inokashira Line) には駒場東大前駅 (Komaba-todaimae Station) はある] とが交錯していて、それぞれの路線の始発駅の文字通りの要となる駅だ。
何故それが明治大学 (Meiji University)和泉キャンパス (Izumi Campus) のある場所にあって、しかもその名を冠する駅名なのだろうか。
猶、かつてそこに日本大学文理学部 (College Of Humanities And Sciences, Nihon University) があるからと謂う理由で日大前駅 (NIchidaimae Station)と名乗っていた駅は、今では下高井戸駅 (Shimo-takaido Station) と謂う名だ。

先の噂の言に基づけば、京王電鉄 (Keio Corporation) の社長の出身大学だから、とでも流布したくなってしまうところだ。

ぼくが利用するのは京王線 (Keio Line) と京王井の頭線 (Keio Inokashira Line) の乗り換えの場合が大半で、滅多な事ではそこに降りる事はない。明治大学 (Meiji University)和泉キャンパス (Izumi Campus) には一切、用向きがなかったのだ。
そこに降りるのは、モダーンミュージック (Modern Music Records Shop) と謂うレコード店に行く時だけだった。そして、その店も今はない。

次回は「」。
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