2016.09.06.11.24

みりたりーるっく

実物をみてしまえば何の事はない事なのだけれども、その場を離れたところでその正しい定義はいかばかりのモノなのだろうと自問するとたちまちに解答に窮する事になる。
世の中のありとあらゆる事象の殆どはそんなモノやコトばかりだ。
その一例を今回は取り上げてみる事にする。

ミリタリー・ルック (Military Look) はファッション (Fashion) に関する用語ではあるのだけれども、甚だ具体性に乏しい。
これに異論のある方は、それの正しい定義を滔々と語ってみるか、さもなければ、似た様な語彙の、アーミー・ルック (Army Look) とマリン・ルック (Marine Look) との差異を見極めてみればいいだろう。

と、ここで、ミリタリー・ルック (Military Look) と謂う語句に誘導されて新たにふたつの語句が登場した。あらためてくどくどしく綴れば、アーミー・ルック (Army Look) とマリン・ルック (Marine Look) だ。
ふたつ登場した新たな語句のうち、前者のミリタリー・ルック (Military Look) との近似性は誰でも何となく解る。だけれども、ヒトによってはマリン・ルック (Marine Look) がここに登場する意義は不分明であるのかもしれない。

マリン・ルック (Marine Look) の、誰にとっても解りやすい例示は、ウォルト・ディズニー (Walt Disney) 創造のドナルド・ダック (Donald Duck) だ。彼の水兵 (Sailor) の服、あれがマリン・ルック (Marine Look) なのである。
マリン (Marine) とは本来ならば、海軍 (Maritime Force) 出自の意匠を指す形容句なのである。
だけれども、同じ海軍 (Maritime Force) 出自の衣装である、ピー・コート (Pea Coat) もダッフルコート (Duffel Coat) も、マリン・ルック (Marine Look) と呼ばれる事はない。その一方で、必ずしも海軍 (Maritime Force) 出自とは謂えない青色ベースのボーダー (Border) はマリン・ルック (Marine Look) と看做されている。

この辺のややこしさが、他のふたつの語句にも波及している。
何故ならば、陸海空三軍 (Three Services) のうち、海軍 (Maritime Force) 出自のモノをマリン・ルック (Marine Look) が担うのであるのならば、陸軍 (Ground Force) 空軍 (Air Force) のふたつを遺りのミリタリー・ルック (Military Look) とアーミー・ルック (Army Look) が担う事になる。
だが、ミリタリー・ルック (Military Look) が陸軍 (Ground Force) 出自に限定される事もなければ、アーミー・ルック (Army Look) が空軍 (Air Force) 出自に限定される事もない。勿論、その逆も然りだ。

猶、ミリタリー・ルック (Military Look) は軍服の正装が出自で、アーミー・ルック (Army Look) は戦闘服が出自と謂うそうだ。
しかしながら、そんな単純な事なのだろうか。

ぼくと同世代、もしくはその上の世代にとって、ミリタリー・ルック (Military Look) の最も解りやすい事例は、グループ・サウンズ (Group Sounds) の衣装になるらしい。
そしてその原典はと謂えば、ザ・ビートルズ (The Beatles)、その1967年発表の第8作『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド (Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band)』のジャケット写真になるらしい。
だけれども、ザ・ビートルズ (The Beatles) とミリタリー・ルック (Military Look) との関連性はもう少し遡る事が出来そうだ 。1965年のシェイ・スタジアム (Shea Stadium) 公演での衣装の、そのカラー (Collar)、その肩章 (Epaulette)、その配色、どれをとってもミリタリー (Military) と謂う形容が可能な気がする [こちらを参照の事]。そして勿論、その最も大きな理由のひとつが、メンバー4人が同じ服を着ていると謂う制服性にある様に思える。

と、謂う事はその服装の出自よりも、同質で均一な服装をしている方が、ミリタリー・ルック (Military Look) ないしはアーミー・ルック (Army Look) の名称が相応しいのであろうか。

例えば、TV番組『踊る大捜査線 (Bayside Shakedown)』[1997フジテレビ系列放映] の主人公青島俊作 (Shunsaku Aoshima) に扮した織田裕二 (Yuji Oda) の意匠でより広く知られる様になったモッズパーカ (Parka Shell M-1951) は、本来ならば米軍放出の衣装。その大元は1960年代のモッズ・ファッション (Mods Fashion) に求める事が出来るのだが、いいかい、冷静に考えれば、モッズパーカ (Parka Shell M-1951) のその下に着用すべき三釦スーツも、これまた源流は、軍装にあるのだ。
ふたつの異なる時代に誕生した、2種類のミリタリー・ルック (Military Look) 乃至はアーミー・ルック (Army Look) が、統合してひとつの意匠を形成しているのである。

ちなみに、ぼく個人がこの意匠、ミリタリー・ルック (Military Look) ないしはアーミー・ルック (Army Look) を知ったのは、マンガ『マカロニほうれん荘 (Macaroni Hourensou)』 [鴨川つばめ (Tsubame Kamogawa) 作 19771979週刊少年チャンピオン連載] に登場する人物達の衣装で、だ。次から次へと変転するギャグの応酬の中で、軍装と謂うのは [ギャグの] ひとつのモチーフではあったけれども、それとは別に普段着として彼等の着用している服装の幾つかは、ミリタリー・ルック (Military Look) 乃至はアーミー・ルック (Army Look) だった筈だ。

本来ならばその幾つかを例示すべきかもしれないけれども、ネット上にはそれに類するシーンを発見出来ない。
代わりに、そんな彼等の元ネタのひとつを掲示しよう。

images
1975年頃の、ロキシー・ミュージック (Roxy Music) 在籍時のブライアン・フェリー (Bryan Ferry) と、彼等のバック・ボーカリスト達ロクゼッツ (Roxettes)である [画像はこちらから]。

ミリタリー・ルック (Military Look) もアーミー・ルック (Army Look) も、そしてマリン・ルック (Marine Look) も機能美を追求した衣装ではある筈だけれども、その機能美が発揮される場所は本来の現場、戦場なのである。
だから、平時の都市にあっては、その機能美はデコレイティヴな意匠として存在を発揮しているのではないか。

次回は「」。

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