2016.08.21.11.19

『エキゾティック・サウンズ ベリー・ベスト・オブ・マーティン・デニー (THE EXOTIC SOUNDS THE VERY BEST OF MARTIN DENNY)』 by マーティン・デニー (MARTIN DENNY)

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マーティン・デニー (Martin Denny) と謂うアーティストに関して、このブログでは既に何度か言及している。
しかもいずれもイエロー・マジック・オーケストラ (Yellow Magic Orchestra) に連動して、なのである。

曰く「マーティン・デニー (Martin Denny) のエキゾチック・サウンド (Exotic Sounds) をクラフトワーク (Kraftwerk) が再現したら?」 [こちらより]。
曰く「パンク (Punk) 出自の英米のテクノ・ポップ (Techno Pop)・サウンドとも違うし、彼らが元ネタのひとつとしたクラフトワーク (Kraftwerk) のそれとも違う。ちなみに、もうひとつの元ネタであるマーティン・デニー (Martin Denny) に出逢うのはもっとずっと後の事だから、ぼくにとっては尚更だ。」 [こちらより]。
並べて書き出してみれば、どちらも同じ趣旨を繰り返しているだけだ。

だからと謂って、ぼく自身がマーティン・デニー (Martin Denny) と彼の音楽を介して、イエロー・マジック・オーケストラ (Yellow Magic Orchestra) に遭遇した訳でもないし、その逆でもない。
もっとずっと後、イエロー・マジック・オーケストラ (Yellow Magic Orchestra) がいつしかワイ・エム・オー (YMO) と呼び名を変えて散開 [1984年] した更に後、この作品によって知ったのである。1989年の事だ。

この作品にはマーティン・デニー (Martin Denny) の代表曲『クワイエット・ヴィレッジ (Quiet Village [Original Version])』 [1956年発表] を自らがシンセサイザー (Synthesizer) で演奏したヴァージョン『クワイエット・ヴィレッジ [シンセサイザー・バージョン] (Quiet Village [Synthesizer Version])』 [1969年発表] が収録されていて、これまでの記述を信じれば、このヴァージョンはそのままイエロー・マジック・オーケストラ (Yellow Magic Orchestra) 乃至はワイ・エム・オー (YMO) に直結する筈だが、いくら聴き返しても、一筋の道筋が描ける訳ではない。
それよりも寧ろ、この作品にも収録されているマーティン・デニー (Martin Denny) のもうひとつの代表曲『ファイアー・クラッカー (Fire Cracker)』 [1959年発表] とイエロー・マジック・オーケストラ (Yellow Magic Orchestra) によるカヴァー『ファイアー・クラッカー (Fire Cracker)』[アルバム『イエロー・マジック・オーケストラ (Yellow Magic Orchestra)』収録 1978年発表] を聴き比べた方が、遥かに合点がゆく。
だからイエロー・マジック・オーケストラ (Yellow Magic Orchestra) の本意は、シンセサイザー (Synthesizer) による演奏に主眼があるのではなく、マーティン・デニー (Martin Denny) のエキゾチック・サウンド (Exotic Sounds) の継承の方にあったのではないかと思えて仕方がならない。
尤もこれは、仮にイエロー・マジック・オーケストラ (Yellow Magic Orchestra) による『クワイエット・ヴィレッジ (Quiet Village [Original Version])』 [1956年発表] のカヴァーなるモノが存在していたら、また異なる感慨を得られるモノなのかもしれないのだが。

1989年にこの作品に出逢ったのは、おそらく、ロック (Rock And Roll) ではないモノを捜していたからであり、それはそのままザ・ビートルズ (The Beatles) 以前の音楽を求めていたからだ。
そしてそれが可能だったのは、コンパクト・ディスク (Compact Disc) と謂うメディアが、ありとあらゆる音楽作品を均一的で等価な存在として扱ったからである。
新進気鋭のアーティストの話題作も、往年の埋もれた名盤も、総てが新作としてレコード店舗に並べられたから、なのである。
つまり、所謂渋谷系 (Shibuya-kei) の萌芽の時季なのであった。

キャプテン・センシブル (Captain Sensible) のヒット曲『ハッピー・トーク (Happy Talk)』 [アルバム『ウィメン・アンド・キャプテンズ・ファースト (Women And Captains First)』収録 1982年発表] がこの作品にも『ハッピー・トーク (Happy Talk)』 [1959年発表] として収録されてあるのは、その曲が映画『南太平洋 (South Pacific)』 [ジョシュア・ローガン (Joshua Logan) 監督作品 1958年制作] の挿入曲『ハッピー・トーク (Happy Talk)』であるからである、と謂う様な事を改めて認識させられたのだし、映画『マッシュ (M*A*S*H)』[ロバート・アルトマン (Robert Altman) 監督作品 1970年制作] の挿入曲でもあるケー・シー・ジョーンズ (Kay Cee Jones) 歌唱の『ジャパニーズ・フェアウェル・ソング [サヨナラ] (Japanese Farewell Song [Sayonara])』 [1955年発表] をカヴァーした『ジャパニーズ・フェアウェル・ソング [サヨナラ] (Japanese Farewell Song (Sayonara))』 [1958年発表] や、坂本九 (Kyu Sakamoto) 歌唱の『上を向いて歩こう (Sukiyaki)』 [1961年発表] がカヴァーされて『スキヤキ [上を向いて歩こう] (Sukiyki)』 [1967年発表] として収録されているのも、謂わずもがなの事なのである。

だけれども、本作品のキャッチ・コピーにある「夏にはこのサウンド、今一番オシャレで気持ちいい......。」は、当時も今も、なんとなく納得しがたいモノがあるのだ。
体温とあまり変わらない程に上がった気温の東京 (Tokyo) の、今年の夏、朦朧とした意識の彼方でこの作品が鳴り響いているのは、決して、嫌な光景ではない。
だけれども、それだけでは昇華できない、くらい背景をこの作品の幾つかに感じ取ってしまうのも事実なのだ。
それをエキゾチック・サウンド (Exotic Sounds) の正体である、と断言出来る程の確信は未だにないのではあるが。

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1980年発表の、スロッビング・グリッスル (Throbbing Gristle) のアルバム『グレイテスト・ヒッツ (Greatest Hits)』のジャケットは、そのメンバーのひとり、コージー・ファニ・トゥッティ (Cosey Fanni Tutti) をフィーチャーしていて、そのヴィジュアルだけでさえ、マーティン・デニー (Martin Denny) が遺した作品群の本歌取り (Honkadori) の様だ [上掲左]。
しかも裏ジャケットに掲載されているメンバー4人の写真 [画像はこちらから] では、ジェネシス・P・オリッジ (Genesis P-Orridge) [上掲中、右端の人物] がワイ・エム・オー (YMO) の1980年の全世界ツアー『フロム・トキオ・トゥ・トーキョー (From Tokio To Tokyo)』での制服 (Uniform) [上掲右:画像はこちらから] を纏っている。
もしかすると、秘められたメッセージとして、マーティン・デニー (Martin Denny) ~ワイ・エム・オー (YMO) の継承を意図しているのであろうか。
[念の為に補足しておけば、マーティン・デニー (Martin Denny)・ファンやワイ・エム・オー (YMO)・ファンの、誰でもが堪能出来る音楽ではない。上掲写真群で興味を持った方はそれだけは任じておいて欲しい。]

ものづくし(click in the world!)166. :
『エキゾティック・サウンズ ベリー・ベスト・オブ・マーティン・デニー
(THE EXOTIC SOUNDS THE VERY BEST OF MARTIN DENNY)』
by マーティン・デニー (MARTIN DENNY)


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エキゾティック・サウンズ ベリー・ベスト・オブ・マーティン・デニー (THE EXOTIC SOUNDS THE VERY BEST OF MARTIN DENNY)』 by マーティン・デニー (MARTIN DENNY)

夏にはこのサウンド、今一番オシャレで気持ちいい......。
T.NO
1. イントロダクション 0'25"
 INTRODUCTION
2. クワイエット・ヴィレッジ 3'41"
 QUIET VILLAGE (Original Version)
 (Les Baxter) Baxter - Wright / BMI
3. ジャングル・フラワー 1'48"
 JUNGLE FLOWER (Original Version)
 (Les Baxter) Baxter - Wright / BMI
4. ジャパニーズ・フェアウェル・ソング(サヨナラ) 2'14"
 JAPANESE FAREWELL SONG (SAYONARA)
 (Yoshida - Morgan) Ranger Music Inc. / ASCAP
5. フォービドゥン・アイランド 2'58"
 FORBIDDEN ISLAND
 (Martin Denny) Criterion Music / ASCAP
6. マウ・マウ 2'35"
 MAU MAU
 (Julius Wachter) Criterion Music / ASCAP
7. バンコック・コックファイト 2'19"
 BANGKOK COCKFIGHT
 (Les Baxter) Granite Music / ASCAP
8. アメリカン・イン・バリ 2'25"
 AMERICAN IN BALI
 (Martin Denny) Exotica Pub. Co. / ASCAP
9. ヒプノティク 3'09"
 HYPNOTIQUE
 (Denny - David) Exotica Pub. Co. / ASCAP
10. ジャングル・マッドネス 3'32"
 JUNGLE MADNESS
 (Johnson - David) Exotica Pub. Co. / ASCAP
11. マチュンバ 2'16"
 MA'CHUMBA
 (Denny - Johnson) Exotica Pub. Co. / ASCAP
12. バンブー・ララバイ 2'12"
 BAMBOO LULLABY
 (Martin Denny) Exotica Pub. Co. / ASCAP
13. マニラ 2'25"
 MANILA
 (Martin Denny) Exotica Pub. Co. / ASCAP
14. ハッピー・トーク 2'27"
 HAPPY TALK
 (Rodgers - Hammerstein II) Williamson Music
15. サケ・ロック 2'00"
 SAKE ROCK
 (Martin Denny)
16. ファイアー・クラッカー 2'25"
 FIRE CRACKER
 (Martin Denny) Exotica Pub. Co. / ASCAP
17. パラダイス・ファウンド 2'25"
 PARADISE FOUND
 (Les Baxter)
18. クロス・カレント 2'22"
 CROSS CURRENT
 (Martin Denny)
19. スターダスト 2'06"
 STARDUST
 (Carmichael - Parish) Wright Lawrence Music Co. Ltd.
20. 虹の彼方に 2'39"
 OVER THE RAINBOW
 (Arien - Harbug) Feist Leo Music Inc.
21. ストレンジ・ミュージック 2'09"
 STRANGE MUSIC
  (Grieg - Forrest - Wright) Chappell & CO. / ASCAP
22. ムーンライト・アンド・シャドウズ 2'52"
 MOONLIGHT AND SHADOWS
 (Robin & Hollander) Paramount Music / ASCAP
23. ブルー・パラダイス 2'14"
 BLUE PARADISE
 (Martin Denny) Exotica Pub. Co. / ASCAP
24. 黒い瞳 2'33"
 BLACK OACHID
 (Cal Tjader) Radcliffe Pub. Co. / BMI
25. オン・ア・クリアー・デイ 2'31"
 ON A CLEAR DAY (You Can See Forever)
  (Lerner - Lane) Chappell & CO. / Lerlane Corp. / BMI
26. スキヤキ(上を向いて歩こう) 2'31"
 SUKIYAKI
  (Nakamura - Ei) Beechwood Music Corp. / BMI
27. インドラニ 2'26"
 INDRANI
 (Denny - Johnson) Exotica Pub. Co. / ASCAP
28. ハワイアン・ラプソディ 2'22"
 HAWAIIAN RHAPSODY
 (Martin Denny) Exotica Pub. Co. / ASCAP
29. クワイエット・ヴィレッジ(シンセサイザー・バージョン) 4'02"
 QUIET VILLAGE (Synthesizer Version)
 (Les Baxter) Atlantic Music Corp. / Granson Music Co. / BMI

2. 3. 4. 5. 21, は、モノラル録音です。
15. は最新の技術によりモノラル録音をステレオ化したものです。

●THIS CD IS SUPERVISED BY YASUSHI IDE (EMPIRE SNAKE BLD)
●THIS CD IS COMPLETED BY YANN TOMITA

解説:井出靖
収録楽曲解説:ヤン富田(音楽家) 1988. 6
MARTIN DENNY DISCOGRAPHY (資料作成:ヤン富田)
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