2016.06.07.12.26

かてぃさーく

と謂えば、帆船 (Sailing Ship) に洋酒 (Scotch Whisky) に (Candy) に人造人間 (Android)。
いや、それ以外にもいろいろとあるだろうし、実際にネット検索すると上のよっつ以外のカティサーク (Cutty Sark) が幾つも登場するのだけれども、そこまで掌を拡げる余裕はない。
寧ろ、ぼくが拘りたいのは、上の4種 [とその他大勢] のその大許の事なのである。

だから先ずは、上の4種。それを使っての三題噺 (Impromptu Rakugo Story Based On Three Subjects) ならぬ4題話 (Impromptu Story Based On Four Subjects) を披露してみようと謂う次第なのである。

先ずは (Candy)。
(Candy) であるところのカティサーク (Cutty Sark) は1974年、カンロ株式会社 (Kanro Co., Ltd) が発売した。紅茶 (Black Tea) の味がする。
先行して販売されていた、同社並びに他社の、他の (Candy) とは一風、異なる味覚で、しかも高級感があった様な記憶がある。
パッケージにはシルエット (Silhouette) の帆船 (Sailing Ship) があしらわれていた [当時のTVCMでも洋上を進む帆船 (Sailing Ship) が大きくフィーチャーされていた様な記憶があるが、確かなモノではない]。
現在は製造も販売もされていない。いつ、打ち切られたのかは解らない。
但し、打ち切りの理由が、洋酒 (Scotch Whisky) であるところのカティサーク (Cutty Sark) との混同である、とまことしやかに語られている。その実は解らない。だけれども、なんとなく眉唾に思う。
と、謂うのは (Candy) であるところのカティサーク (Cutty Sark) よりも先行して洋酒 (Scotch Whisky) であるところのカティサーク (Cutty Sark) が販売流通していたからだ。洋酒 (Scotch Whisky) のイメージに寄りかかる形で、販売流通される事が前提にある様に思える。
と謂うのは、もしかすると、当時のぼく達が感じていた高級感と謂うモノは、洋酒 (Scotch Whisky) であるところのカティサーク (Cutty Sark) が醸し出していたモノかもしれないから、なのだ。

洋酒 (Scotch Whisky) であるところのカティサーク (Cutty Sark) は1923年に開発された銘柄 (Brand)。こちらも瓶のラベルに、大きく帆船 (Sailing Ship) の絵柄が大きく描かれている。
個人的には、学生時代に呑み倒していたと同時に酔い潰れていた記憶がある。
その味は、麦酒 (Beer) や焼酎 (Shochu) や葡萄酒 (Wine) やバーボン (Bourbon Whiskey) よりも早くから体験していた。上の文章と全く矛盾するのだが、洋酒 (Scotch Whisky) であるところのカティサーク (Cutty Sark) 自体には、ぼく自身が高級感と謂うモノをついぞ感じた事はない。

ここまでの時点で整理しておくと、 (Candy) であるところのカティサーク (Cutty Sark) と、洋酒 (Scotch Whisky) であるところのカティサーク (Cutty Sark) は同一のものにイメージ戦略を置いている。帆船 (Sailing Ship) である。
強引な論理展開をすれば、ふたつのカティサーク (Cutty Sark) はその由来を帆船 (Sailing Ship) であるところのカティサーク (Cutty Sark) に置いていると謂う事が可能だ。

だからそれをそのまま援用して、人造人間 (Android) であるところのカティサーク (Cutty Sark) の由来を、帆船 (Sailing Ship) に求める説がまかり通っている様にみえる。
ここで謂う、人造人間 (Android) であるところのカティサーク (Cutty Sark) とは、緒方てい (Tei Ogata) 作のマンガ『人造人間カティサーク (Android Cutty Sark)』 [20062009月刊コミックラッシュ連載] とその主人公の事である。
その通説が正しいか否かを検証する前に、ふたつのカティサーク (Cutty Sark) がよるところの、帆船 (Sailing Ship) であるところのカティサーク (Cutty Sark) をみてみよう。

帆船 (Sailing Ship) であるところのカティサーク (Cutty Sark) は、中国 (China) から英国 (England) まで紅茶 (Black Tea) を搬送する為に建造された帆船 (Sailing Ship)、ティークリッパー (Tea Clipper) の名称であり、しかも現存する唯一のティークリッパー (Tea Clipper) である。
(Candy) であるところのカティサーク (Cutty Sark) が紅茶 (Black Tea) の味なのは、それにちなんでいるのだろう。

帆船 (Sailing Ship) であるところのカティサーク (Cutty Sark) の、その名称の由来は、船首像 (Figurehead) にある。
そこには馬の尾を握り締めた女性が掲げられているのである。

その像は、ロバート・バーンズ (Robert Burns) の詩作品『シャンターのタム (Tam o' Shanter)』 [1790年発表] に由来するモノで、 下着 (Undergarment) 姿の魔女ナニー (The Witch Nannie Dee) だと謂う。そして、その下着 (Undergarment) こそがカティサーク (Cutty Sark) と謂う名称なのだ。

その詩作品は1955年にマルコム・アーノルド (Malcolm Arnold) によって『タム・オ・シャンター序曲 作品51 (The Tam o' Shanter Overture, Op. 51)』と謂う音楽作品にもなっているのだが、その詩作品で述べられているところをかいつまんで説明すると、魔女 (Witch) の集会に遭遇したタム (Tam) が、下着 (Undergarment) 姿 [つまりは下着 (Undergarment) であるところのカティサーク (Cutty Sark) だけをまとった姿] の魔女ナニー (The Witch Nannie Dee) に誘惑されそうになったところを一目散に、馬に飛び乗って逃げ出し、辛くも命を取り留めたと謂う物語だ。魔女ナニー (The Witch Nannie Dee) は、馬の尾を掴むところまでは追いついたものの、その尾がちぎれてしまったのだ。
帆船 (Sailing Ship) であるところのカティサーク (Cutty Sark) の船首像 (Figurehead) が、馬の尾を握っているのは、そういう理由からなのだ。

マンガ『人造人間カティサーク (Android Cutty Sark)』とその主人公は、おそらく、この船首像 (Figurehead) と謂うか、その下着 (Undergarment) 姿の魔女ナニー (The Witch Nannie Dee) にちなんでの名称ではないかと思われる。
と、謂うのはその作品に登場する主人公の服装が、下着 (Undergarment) であるところのカティサーク (Cutty Sark) を彷彿とさせるからだ。

images
上掲画像は、ジョン・ファエド (John Faed) による『魔法使いと魔女の踊り (Warlocks And Witches In A Dance)』 [1892年頃の作品]。
画面中央右側で踊る女性が魔女ナニー (The Witch Nannie Dee) で、彼女が着ているモノが、下着 (Undergarment) であるところのカティサーク (Cutty Sark)。
画面右側奥にある窓外にタム (Tam) と思われる男性の、驚愕した顔が認められる。
もしもあなたがモノクローム・セット (The Monochrome Set) と謂うバンドを知っているのであるならば、彼らの再結成第1作『ダンテス・カジノ (Dante's Casino)』 [1990年発表] のオリジナルのアルバム・カヴァーで、上掲の画像を観ている事だろう。

これで、通常ならば大団円である。
少々、大味で大雑把な知識が無造作に放り出されているだけの、文章であり論理展開ではあるけれども、この文章を読んだ後には、帆船 (Sailing Ship) にしろ洋酒 (Scotch Whisky) にしろ (Candy) にしろ人造人間 (Android) にしろ、カティサーク (Cutty Sark) の名称の由来は下着 (Undergarment) であり、その原典はロバート・バーンズ (Robert Burns) の詩作品『シャンターのタム (Tam o' Shanter)』と断言は可能だ。
だけれども、いやもしかするとそれだからこそ、ぼくには納得がいかない点がひとつある。

それは、何故、下着 (Undergarment) 姿の魔女ナニー (The Witch Nannie Dee) の魔手から辛くも逃げおおせた主人公タム (Tam) ではなくて、取り逃がした方の魔女ナニー (The Witch Nannie Dee) にちなんだのか、と謂う事なのだ。

と、謂うのは、帆船 (Sailing Ship) であるところのカティサーク (Cutty Sark) が建造されたのは1869年、スエズ運河 (Suez Canal) 開通直後であり、帆船 (Sailing Ship) の時代はとうに終わりを告げていたからである。
中国 (China) と英国 (England) を繋ぐ新しく、そしてより短い航路となるスエズ運河 (Suez Canal) は、風力を動力とする帆船 (Sailing Ship) では航行が不可能となるからだ。結果、速度や積載量で劣るとされていた蒸気船 (Steamboat) が、紅茶 (Black Tea) 輸送に適任と看做される。そんな時代の矢先に、帆船 (Sailing Ship) であるところのカティサーク (Cutty Sark) がティークリッパー (Tea Clipper) として就航するのである。

それだけではない。
その帆船 (Sailing Ship) のその後の歴史を追っていくと常に、掴み取るべきモノを取り逃がしてしまった記録ばかりが積み上げられている。
ある意味で、タム (Tam) に追いつけなかった魔女ナニー (The Witch Nannie Dee) 同様の結果、つまりは、名は体を顕していると、謂えてしまえるのだ。

そしてそんな帆船 (Sailing Ship) の歴史を知ってか知らずか、その名称を引き継いで名乗りをあげる、洋酒 (Scotch Whisky) に (Candy) に人造人間 (Android) [とその他大勢]。
それらは否応もなく、ぼくには判官贔屓 (Side With The Underdog) と一括りに断罪してしまいたくなる。

判官贔屓 (Side With The Underdog) と謂う語句が時代がかって意味が掴み難いと謂うのならば、こう謂い換えてもいいだろう。

私は記録に残る選手になるより記憶に残る選手になりたい

カティサーク (Cutty Sark) の航跡を追っていくとそんな言説ばかりが横行している。

次回は「」。
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