2016.05.15.12.02

『ラヴ・イズ (LOVE IS)』 by エリック・バードン & ジ・アニマルズ (ERIC BURDON AND THE ANIMALS)

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エリック・バードン (Eric Burdon) で、ジ・アニマルズ (The Animals) と謂えば、『朝日のあたる家 (The House Of The Rising Sun)』 [アルバム『ジ・アニマルズ (The Animals)』 [1964年発表] 収録] や『朝日のない街 (We've Gotta Get Out Of This Place)』 [アルバム『アニマル・トラックス (Animal Tracks)』 [1965年発表] 収録] といった代表曲が脳裏に浮かぶだろうが、それを想定して本作品に向かうと、恐らく、絶句する。

1969年発表の、エリック・バードン・アンド・ジ・アニマルズ (Eric Burdon And The Animals) 名義の最終作。
1966年発表のシングル『シー・シー・ライダー (CC Rider)』 [アルバム『アニマルゼーション (Animalization)』[1966年発表] 収録] の頃からジ・アニマルズ (The Animals) は名称をエリック・バードン・アンド・ジ・アニマルズ (Eric Burdon And The Animals) へと変更している。そしてそれに裏付けられるかの様に、相次ぐメンバー・チェンジの結果、バンドのオリジナル・メンバーはヴォーカリストであるエリック・バードン (Eric Burdon) ただ一人となってしまう。そしてさらに活動拠点を英国から米国へと移動させている。
1967年、所謂サマー・オヴ・ラヴ (The Summer Of Love) の時代に、だ。
その大きなうねりの中で、制作されたのが本作と謂う訳なのだ。

収録楽曲全9曲のうち、8曲がカヴァー・ナンバーなので、ここからはその1曲1曲を当たってゆく。

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1. リヴァー・ディープ、マウンテン・ハイ (River Deep, Mountain High)
オリジネイターはアイク・アンド・ティナ・ターナー (Ike And Tina Turner) で、『リヴァ-・ディープ - マウンテン・ハイ (River Deep - Mountain High)』 [アルバム『リヴァ-・ディープ - マウンテン・ハイ (River Deep - Mountain High)1966年発表] 収録]。
ぼくがこの楽曲を知ったのは、ディープ・パープル (Deep Purple) によるカヴァー・ヴァージョン『リヴァー・ディープ・マウンテン・ハイ (River Deep, Mountain High)』 [アルバム『詩人タリエシンの世界 (The Book Of Taliesyn)』 [1968年発表] 収録] だ。

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2. アイム・アン・アニマル (I'm An Animal)
タイトルだけみると、ジ・アニマルズ (The Animals) のオリジナルで彼らのテーマ楽曲の様に思えてしまうが、作者はシルヴェスター・スチュアートことスライ・ストーン (Silvester Stewart aka Sly Stone)。つまり、スライ・アンド・ファミリー・ストーン (Sly And The Family Stone) の楽曲『アイム・アン・アニマル (I'm an Animal)』 [アルバム『ライフ (Life)』 [1968年発表] 収録] なのである。
ところで、初めて気づいたのだけれども、スライ・アンド・ファミリー・ストーン (Sly And The Family Stone) のオリジナル・ヴァージョンを収録しているアルバム・タイトルのロゴは、小沢健二 (Kenji Ozawa) のアルバム『ライフ (Life)』{1994年発表] のそれとよく似ているね [笑]。
ぼくはこの楽曲を『ラヴ・イズ (LOVE IS)』で知った。

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3. アイム・ダイイング、オア・アム・アイ? (I'm Dying, Or Am I?)
そしてこの楽曲こそ、唯一のオリジナル楽曲。ぼくがネットで調べたところでは、本作品以外の、ジ・アニマルズ (The Animals)〜エリック・バードン (Eric Burdon) 関連作品には収録されていない様だ [但し、確信をもってそれを断言は出来ない]。

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4. リング・オブ・ファイアー (Ring Of Fire)
オリジナルはジョニー・キャッシュ (Johnny Cash) が1963年に発表した『リング・オブ・ファイア (Ring Of Fire) [アルバム『リング・オブ・ファイア (Ring Of Fire : The Best Of Johnny Cash)』 [1963年発表] 収録]。但し、ジョニー・キャッシュ (Johnny Cash) は1968年にこの楽曲の作者の一人、ジューン・カーター・キャッシュ (June Carter Cash) [もう一人の作者はマール・キルゴア (Merle Kilgore)] との結婚を機にこの楽曲を再発している。
ぼくがこの楽曲を知ったのは、フランク・ザッパ (Frank Zappa) によるカヴァー・ヴァージョン『リング・オブ・ファイア (Ring of Fire)』 [アルバム『ザ・ベスト・バンド (The Best Band You Never Heard In Your Life)』[1991年発表] 収録] だ。

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5. カラード・レイン (Coloured Rain)
オリジネイターはトラフィック (Traffic) で、『カラード・レイン (Coloured Rain)』 [アルバム『ミスター・ファンタジー (Mr. Fantasy)』[1967年発表] 収録]。
ぼくはこの楽曲を『ラヴ・イズ (LOVE IS)』で知った。

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6. ラヴ・サムバディ (To Love Somebody)
オリジネイターはビージーズ (Bee Gees) で、1967年発表の彼らのセカンド・シングル『ラヴ・サムバディ (To Love Somebody)』 [アルバム『ビー・ジーズ・ファースト (Bee Gees First)』 [1967年発表] 収録]。
ぼくはこの楽曲を『lラヴ・イズ (LOVE IS)』で知った。
いや、違う。映画『小さな恋のメロディ (Melody aka S.W.A.L.K)』 [ワリス・フセイン (Waris Hussein) 1971年制作] で初めて聴いたんだ。そう、このシーンだ。

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7. 時は流れて (As The Years Go passing By)
オリジネイターはフェントン・ロビンソン (Fenton Robinson)で、1959年発表の作品『時は流れて (As The Years Go passing By)』 [アルバム『アイ・ヒア・サム・ブルース・ダウンステアーズ (I Hear Some Blues Downstairs)』 [1977年発表] 等に収録]。だけれども、1967年にアルバート・キング (Albert King) がアルバム『ボーン・アンダー・ア・バッド・サイン (Born Under A Bad Sign)』で『時は流れて (As The Years Go passing By)』をカヴァーしているので、エリック・バードン・アンド・ジ・アニマルズ (Eric Burdon And The Animals) がカヴァーしたのは、それが契機なのかもしれない。
ぼくはこの楽曲を『ラヴ・イズ (LOVE IS)』で知った。

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8. ジェミニ (Gemini)
この楽曲はよく解からない。当時のエリック・バードン・アンド・ジ・アニマルズ (Eric Burdon And The Animals) のメンバー、 ズート・マネー (Zoot Money : key) とアンディ・サマーズ (Andy Summers : g) が参加していたバンド、ダンタリアンズ・チャリオット (Dantalian's Chariot) のレパートリーではないかと謂れているが、それを確認できる音源はない。作者であるスティーヴ・ハモンド (Steve Hammond) についても、彼を紹介しているサイトはあるにはあるが、この楽曲に関しては触れられてはいない。
1970年にクォーターマス (Quatermass)が第1作『クォーターマス (Quatermass)』で『ジェミニ (Gemini)』をカヴァーしている。
ぼくはこの楽曲を『ラヴ・イズ (LOVE IS)』で知った。

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9. マッドマン (The Madman [Running Through The Fields])
で、こちらが上述のダンタリアンズ・チャリオット (Dantalian's Chariot) のオリジナル楽曲。彼らが1967年に発表したファースト・シングル『マッドマン (The Madman [Running Through The Fields])』で、現在は彼らの音源をまとめたアルバム『チャリオット・ライジング (Chariot Rising)』 [1996年発表]収録] に収録されている。
ぼくはこの楽曲を『ラヴ・イズ (LOVE IS)』で知った。

と、こうやってみていくと、彼らが本作品制作に入る前年乃至は同年には発表された楽曲ばかりを自身の解釈でもって再構築している作品とみてとる事が出来る。
『リング・オブ・ファイアー (Ring Of Fire)』も『時は流れて (As The Years Go passing By)』も、かなり旧くから知られた、彼等にとっては馴染みの楽曲ではあるのだろうが、本作品に収録したのは恐らく、当時、再発やカヴァーで再評価されていたからだ。

つまり、作品名になぞらえて、その収録楽曲をみてみれば、サマー・オヴ・ラヴ (The Summer Of Love) の時代に改めて彼等なりの視点で"愛とは何か (Love Is)"と問い糺している様にもみえる。

ぼくからみれば、この作品はとても不思議なグルーヴによって全篇が支配されている様に聴こえて、しかも、それに似たモノをみいだす事も出来ないのだ。

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デヴュー当時のジ・アニマルズ (The Animals) は、同時代に出現した英国バンドの中では、最も黒人音楽 (Black Music) 的な要素を取り入れたバンドだと思うが、ここに聴ける音楽には、それを殆ど継承していない様に聴こえる。
だからと謂って、サイケデリックなテイスト (Taste Of Psychederic) が全面に開花している様にも聴こえない [上掲画像はアルバムのインナー・スリーヴ、果たしてこんなヴィジュアルが本作に相応しいのか否か]。

しかも、本作品で示された方向性を引き継ぐモノも、ぼくにはみあたらないのだ。
エリック・バードン (Eric Burdon) でさえ、このバンドを解散した後に結成したのが、エリック・バードン・アンド・ウォー (Eric Burdon And War) で、そこには断絶を感じざるを得ない。

本作品唯一のオリジナル楽曲が『アイム・ダイイング、オア・アム・アイ? (I'm Dying, Or Am I?)』と謂う、楽曲名だけみれば、絶命寸前の足掻き声なのも、故なしとは謂うしかない。

ものづくし(click in the world!)163. :
『ラヴ・イズ (LOVE IS)』
by エリック・バードン & ジ・アニマルズ (ERIC BURDON AND THE ANIMALS)


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ラヴ・イズ (LOVE IS)』 by エリック・バードン & ジ・アニマルズ (ERIC BURDON AND THE ANIMALS)

'68年12月に発表された、エリック・バードン & ジ・アニマルズのラスト・アルバム。「リヴァー・ディープ、マウンテン・ハイ」、「カラード・レイン」、「ラヴ・サムバディ」等々の名曲をカヴァー。すべて名演である。

1. リヴァー・ディープ、マウンテン・ハイ
 River Deep, Mountain High
 [P. Spector - J. Barry - Ellie Greenwich] Mother Bertha Music, Inc & Trio Music, Co., Inc. BMI
2. アイム・アン・アニマル
 I'm An Animal
 [Stewart Silvester] Daly City Music, BMI
3. アイム・ダイイング、オア・アム・アイ?
 I'm Dying, Or Am I?
 [Eric Burdon] Eric Burdon Music, Inc & Noma Music, Inc. BMI
4. リング・オブ・ファイアー
 Ring Of Fire
 [June Carter - Merle Kilgore] Painted Desert Music Corp. BMI
5. カラード・レイン
 Coloured Rain
 [Steve Winwood - James Capaldi - Chris Wood] Island Music, Ltd.
6. ラヴ・サムバディ
 To Love Somebody
 [Barry Gibb - Robin Gibb] Nemperor Music Ltd. BMI
7. 時は流れて
 As The Years Go passing By
 [Deadric Malone] Lion Pub. Co., inc. BMI
8. ジェミニ
 Gemini
 [Steve Hammond] Miller Music Corp. ASCAP
9. マッドマン
 The Madman [Running Through The Fields]
 [Andy Summers - George Bruno Money] Miller Music Corp. ASCAP

(P) 1. 2. 3. = 1969 / 4. 5. 6. 7. 8. 9. = 1968 MGM Records, New York
Produced and arranged by The Animals

Personnel : ERIC BURDON lead vocals・ZOOT MONEY organ, various pianos, bass guitar, vocals・ANDY SUMMERS guitars, vocals・JOHN WEIDER guitars, vocals・BARRY JENKINS drums, percussion, vocals
Produced and arranged by the Animals・Recorded at T.T.G. : Sunset Sound Studios, Hollywood, Calif. Oct. 1968・Engineer : Brian Ingoldsby・Remix : Zoot Money, Andy Summers ・Personal Management, David Kevin Deverich Cover produced by Rainstory Prod. ・Photography & Design, Michael O'Bryant・Graphic Art, Mitchell Brisker・Add. photography, George Bartlett.

ぼくが所有している日本盤には、パンタ (Panta) と松村雄策 (Yusaku Matsumura) の解説が封入されている。
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