2016.01.17.10.01

『闘 (WAR)』 by ユー・トゥー (U2)

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本作品は、「いつまでこの歌をうたいつづけなければならないのか (How Long Must We Sing This Song)」で幕が開き、「あたらしい歌をこれからもうたうだろう (I Will Sing, Sing A New Song)」と閉じられる。
前者は本作品の冒頭収録曲『ブラディ・サンデー (Sunday Bloody Sunday)』の1節であり、後者は最終楽曲『"40 ("40")"』の1節だ。

そして、このふたつのことばの連なりをどううけとめるのか、その1点でもって、本作品やそれを発表したバンドへの評価が決定される様に思える。

甘っちょろい感傷癖と捉える事も可能ならば、自身の感慨を真っ正直に吐露したとも、いずれの解釈も可能なのだ。
このふたつの言葉、単純に解釈してしまえば、当事者ではない / 当事者にはなれないと謂う諦念と目撃者でしかない / 目撃者でありつづけようと謂う決断の顕れなのだ。
つまり、バンド / ミュージシャンとしての限界と、だからこそあり得る可能性を告白しているのである。

そうしてそんな決意表明は当然ながら、一方では批判も否定もされるだろうし、その他方では歓迎も肯定も受けるのだ。
それは、本作品を聴くモノが、音楽に対してなにを求めているのか、と謂う試金石でもあるし、同時にそのモノの明確な意思表示となるだろう。

ある意味で、このバンドはリトマス試験紙 (Litmus) の様な役割を、聴くモノに果たすのだ。
このバンドを聴くのか聴かないのか、このバンドを支持するのか支持しないのか、その判断で、そのヒトの音楽における嗜好性や指向性や思考性をはかる事は充分に可能なのだ。

だからと謂って、このバンド自身が磐石な位置にあるとは決して思えない。揺らぎもするし、傾いでもいる。行き過ぎて置いてきぼりにしてしまう場合もあれば、遅刻していつまでたっても間に合わない場合もある。

でもそれは聴いている側である自分自身を基準点に置いているからこそ断言できる事柄であって、バンドの方からぼく達をみれば、一体どんな風にみえるのだろう。
きっと、歯がゆくておぼつかない時もあれば、自意識過剰に自信に満ち溢れてしまう時もあるだろう。

そんな事態は、どんなバンド、どんなアーティストであってもおなじさ、そう、きみは指摘するかもしれない。
確かにそうだ。
しかし、彼らの場合、それが極めて正直に、解りやすい挙動や反応を伴うのだ。

聴き手であるぼく達の興味や関心と、送り手である彼等の興味や関心との、共鳴や反発、もしくは、強度や濃度の違いによって、ぼく達自身の世界にむけるべきまなざしの行方を推し量る事は充分に可能なのだ。
彼等を、みちを指し示す導師と看做すのも、反面教師と看做すのも、ぼく達は自由なのだ。その時その時の判断でいい。その場その場で審判を下せばいい。何故ならば、彼等こそ、いつもいつも危うい行動や危うい判断をしているからだ。
その危うさをもって、ぼく達は恐らく、彼等を信頼できるのだろう。

ジャケットにある少年の眼光は鋭いが、だが、彼のポーズはどうみても降伏のポーズだ。
現状に決して屈しないと謂う決意表明と捉えるか、それとも、如何なる現状であろうともそれを認められない認識力の欠如と捉えるか、それは自由だ。
しかも、その両方がこの作品の中で共鳴している。
本作品発表当時、ステージでは白旗が掲げられていた。あれと同趣なのだ。

ものづくし(click in the world!)159. :『闘 (WAR)』 by ユー・トゥー (U2)


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闘 (WAR)』 by ユー・トゥー (U2)

SIDE-1
1. ブラディ・サンデー
 SUNDAY BLOODAY SUNDAY (4:35)
2. セコンド
 SECONDS (3:10)
3. ニュー・イヤーズ・デイ
 NEW YEAR'S DAY (5:34)
4. ライク・ア・ソング
 LIKE A SONG ... (4:48)
5. ドラウニング・マン
 DROWNING MAN (4:11)

SIDE-2
1. ザ・リフジー*
 THE REFUGEE* (3:40)
2. ツー・ハーツ・ビート・アズ・ワン
 TWO HEARTS BEAT AS ONE (4:00)
3. レッド・ライト
 RED LIGHT (3:44)
4. サレンダー
 SURRENDER (5:32)
5. 40
 "40" (2:37)

ALL SONGS WRITTEN BY U2 (C) 1983 BLUE MOUNTAIN MUSIC LTD
LYRICS REPRODUCED BY KIND PERMISSION
(P) 1983 Original sound recording by Island Records

BONO : VOCAL & GUITAR
THE EDGE : GUITARS, PIANO, LAP STEEL, VOCAL ("SECONDS")
ADAM CLAYTON : BASS
LARRY MULLEN JR : DRUMS & PERCUSSION
ELECTRIC VIOLIN : STEVE WICKHAM ("SUNDAY BLOODAY SUNDAY" "DROWNING MAN")
TRUMPET : KENNY FRADLEY
BACKING VOCALS : CHERYL POIRIER, ADRIANA KAEGI, TARYN HAGEY, ALSO JESSICA FELTON ("SURRENDER" "RED LIGHT")

PRODUCED BY STEVE LILLYWHITE
EXCEPT * PRODUCED BY BILL WHELAN (MIXED BY STEVE)
ENGINEERED BY PAUL THOMAS
ASSISTED BY KEVIN KILLEN
U2 MANAGEMENT : PAUL McGUINNESS
RECORDED AT WINDMILL LANE STUDIOS, DUBLIN, IRELAND

MASTERED BY GORDON VICARY AT THE TOWN HOUSE, LONDON

BOY PHOTOGRAPHER : IAN FINLAY
BAND PHOTOGRAPH : ANTON CORBIJN
DESIGN RX

LARRY MULLEN JR PLAYS YAMAHA DRUMS

ぼくが所有している国内盤LPには志摩あつこ (Atsuko Shima) による画文が掲載されている。

最期に。拙稿中、このバンドの名称をユー・トゥー (U2) とカナ表記を混じえて書き綴ったのは、このブログでの記載ルールに応じただけで、他意はありません。
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