2016.01.15.11.26

Boogie Shoes

寒い朝の日曜日。ひっそりとした学校にひとり、少女の姿がある。

グラウンドには三々五々、ユニフォームに着替えた運動部員たちが準備をはじめている。
かれらにみとがめられないか、彼女は不安だ。本来ならば、こんな時間にここにくる用事は彼女にはない。いま、ウォーミングアップをはじめた生徒達のなかにはきっと、同級生もいるだろう。彼等にはけっしてしられてはいけないことなのだ。

いつもの朝のように、校舎にむかう。
いや、いつもよりもかなりはやい朝だ。そして、いつもよりもかなりいそいでいる。遅刻の朝よりもせいているのにちがいない。

だれかがまっているわけではない。約束もしていない。少女自身の、立案したプランをただ、実行したいだけなのだ。
これができればなにかがかわる。これができなければなにもかわらない。
そんなおもいが彼女をいそがせている。

彼女は、ちいさなてさげぶくろをかかえている。たいしたものがはいっているわけではない。だが、彼女自身にとってはおおきな時限爆弾だ。ちっぽけなふくろのなかには、とてつもないおもいがこめられている。

それをある生徒の下駄箱のなかにほうりこめば、今朝のミッションは完了だ。
明日の朝になれば、何人ものライバルがおなじたくらみをこころみるかもしれない。だから、ひとりぬきんでるために、いちはやくの行動がもとめられたのだ。

なかにはもっとあからさまな直接的な行為におよぶものがあらわれるかもしれない。
それよりも、もうすでに。
だが少女のかんがえはそこまでおよばない。たとえ脳裏をかすめたとしても全否定だ。

目的の場所の目的のふたをひらこうとした瞬間、背後からおもわぬ声がきこえる。
きづいたころには、正門のそばでいきをきらしている。
動転した彼女はそのあいだの時間の、記憶が一切ない。

みぎのうでは、うすよごれた靴を片方、にぎりしめている。下駄箱にほうりこまれているはずのてさげふくろは、足許にころがっている。
あせがふきでている。
こもれびが、とてつもなくまぶしい。

[the text inspired from the song "Boogie Shoes" from the album "KC And The Sunshine Band" by KC And The Sunshine Band]


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