2015.12.20.09.44

『コンプリート・カフェ・モンマルトル (LIVE AT THE CAFE MONTMARTRE)』 by セシル・テイラー (CECIL TAYLOR)

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セシル・テイラー (Cecil Taylor) の作品は、この1作しかもっていない。
にも関わらずに、これからこの作品について駄文を綴ろうとしている。
恐ろしく、無謀な行為に耽けようとしているのかもしれない。

普段ならばなにも気にかけない事、もしくは一切を無視出来る事である筈なのに、何故だかそれが躊躇われてしまう。
それは数ヶ月前に、セシル・テイラー (Cecil Taylor) の代表的な作品を、時系列に従って、聴きあさっていたからである。

彼の初期の作品、フリー・ジャズ (Free Jazz) と謂う語句が誕生する前に制作された作品群は、非常に面白い。愉快であり痛快だ。
ジャズ (Jazz) と謂う文脈に囚われる / 囚われない、ジャズ (Jazz) と謂う範疇に踏みとどむ / 踏みとどまない、この微妙な境界線の上で、絶えず揺れ続けている。
セシル・テイラー (Cecil Taylor) 自身は、産みの苦しみにもがき続けていたのかもしれないが、それを半世紀も後に聴く側はしったこっちゃない。限られた身体能力の限界に挑み続けるアスリート (Athlete) の肉体が美しい様に、この時代の作品はどれも美しい。

その一方で、時代を下って発表され続けている彼のソロ・ピアノ / Solo Pianoは、なごみの極地にあるかの様に、ぼくには響く。ジャズ (Jazz) である事も必要ではなく、ジャズ (Jazz) として聴く必要もない。
ブライアン・イーノ (Brian Eno) による環境音楽 (Ambient Music) の定義「意識して聴くこともできるが、また、無視することもできる音楽 (It Must Be As Ignorable As It Is Interesting.)」 [アルバム『ミュージック・フォー・エアポート (Ambient 1 : Music For Airports)』より 1978年発表] にすっぱりと当てはまるのだ。

ピアノ (Piano) の音。音楽である / 音楽でない、旋律である / 旋律でない、そんな次元のもっと上でここで聴く事が出来るのは、あくまでも楽器の音だ。純粋に音を音として愉しむ事が許されている。
勿論、ここでもセシル・テイラー (Cecil Taylor) 自身の内面を、ぼくが関与する必要もない。仮令、ピアニスト / Pinaistがそれを望んでいても、だ。

ではこの作品は?

本作品を聴くたびに、ぼくは狼狽えてしまう。
どこに行けばいいのかも解らないしどこへ還ればいいのかも解らない。
世評の、と謂うのはつまり、ジャズ (Jazz) と謂う音楽を聴いている世界での評価と謂う意味だけれども、その高い作品の、どこをどう彼らが聴いて評価しているのかが解らない。

つまらないとか、聴くに堪えない、と謂う意味ではない。
だからと謂って、それとは全く逆の高評価をする事も敵わない。

とっても息苦しいのだ。
がんじがらめに絡みとられている様な気がしてしまうのだ。

そうぢゃない聴き方が許されているのにも関わらずに、そう聴かねばならぬと弾劾されてしまうのだ。しかもそれを強いているのは、セシル・テイラー (Cecil Taylor) ではない。

強いているのは、恐らくジャズ (Jazz) と謂う音楽だ。

ジャズ (Jazz) から自由にはるか彼方へと飛翔できる音楽家が、ジャズ (Jazz) を演奏しなければならない。極めろ、追及しろとだれかがささやくのだ。だから、彼はジャズ (Jazz) を演奏している。
しかもそのだれかとは聴衆でさえないのだ。

この作品を聴くとこんな事ばかりを考えてしまう。

にも関わらずに、何度も何度もこの作品を聴くのは、時折、響くあの音を聴きたいからだ。
その音は、どう聴いても、ピアノ (Piano) の音には思えない。勿論、他のふたつの楽器からの音、ふたりの演奏家からの音でもない。

ものづくし(click in the world!)158. :
『コンプリート・カフェ・モンマルトル (LIVE AT THE CAFE MONTMARTRE)』 by セシル・テイラー (CECIL TAYLOR)


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コンプリート・カフェ・モンマルトル (LIVE AT THE CAFE MONTMARTRE)』 by セシル・テイラー (CECIL TAYLOR)

disc : 1
1. トランス <9:13>
 TRANCE
2. コール <8:54>
 CALL
3. レナ <6:55>
 LENA
4. ネフェルティティー <9:10>
 NEFERTETE, THE BEAUTIFUL ONE HAS COME (1'st Variation)
5. ホワッツ・ニュー <12:09>
 WHAT'S NEW
6. ネフェルティティー <8:15:10>
 NEFERTETE, THE BEAUTIFUL ONE HAS COME (2'nd variation)
disc : 2
1. レナ <14:20>
 LENA (alternate take)
2. D. トラッド、ザッツ・ホワット <21:24>
 D. TRAD, THAT'S WHAT
3. コール* <6:36>
 CALL (alternate take)
4. アンタイトルド・サンプル* <20:05>
 UNTITLED SAMPLE

* ... 未発表曲、モノラル録音
1962コペンハーゲン録音

セシル・テイラー CECIL TAYLOR (p)
ジミー・ライオンズ JIMMY LYONS (as)
サニー・マレー ARTHUR MURRY (ds)

(P) 1994 BLACK LION PRODUCTION LTD.

ぼくの所有している国内盤CDは、(株)徳間ジャパンコミュニケーションズ (Tokuma Japan Communications Co., Ltd.) から1994年に発売されたモノで、スイングジャーナル誌 (Swing Journal) の名盤蒐集クラブ (Swing Journal Steal Approval) 選定作品。ライナーノートには、いずれかのオリジナル盤に記載されていたと思しきバリー・マックレー (Barry McRae) による記事 [訳・相沢史郎 (Shiro Aizawa)] が英日併記で掲載されている他に、小野好恵 (Yoshie Ono) の記事 [94年1月10日付] が掲載されている。

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上記以外に、レコーディング・クレジットが記載されていないので、同封のアルバム『ネフェルティティ (Nefertiti, the Beautiful One Has Come)』のジャケット縮刷版 [上掲左] から、補足するに足る英文クレジットを書き写してみる。
それと同様に、『イノヴェーションズ (Innovations)』のアルバム・カヴァー [上掲右] も封入されているがそれに関するデータは一切ない(セシル・テイラー (Cecil Taylor)自身による短文のみ掲載)。
結果、同日の収録だとしても、収録楽曲の幾つかの作曲者名がここでは不明なままとなっている。
猶、曲目表記は原文ママです。

CECIL TAYLOR (piano)
JIMMY LYONS (alto saxophone)
SONNY MURRY (drums)

SIDE A
1. WHAT'S NEW?
 Haggart & Burke (Time : 12.15)
2. NEFERTITI, THE BEAUTIFUL ONE HAS COME (1st VARIATION)
 TAYLOR (Time : 9.18)
SIDE B
1. LENA (2nd VARITION)
 TAYLOR (Time : 14.31)
2. NEFERTITI, THE BEAUTIFUL ONE HAS COME (2nd VARIATION)
 TAYLOR (Time : 8.19)

A FREEDOM recording (FLP-40124)
Produced by Anders Stefansen
Album produced by Alan Bates
Recorded live at the Montmartre Jazzhus, Copenhagen 23rd November 1962
Recording Engineer : Borge Jensen
Sleeve photograph : Toshinari Koinuma
Sleeve design : Jr., Masa
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