2015.12.08.11.05

だきしめたい

検索エンジンに、だきしめたいと謂う語句を投入すると、その検索結果として、そこにずらずらと並んで登場するのはミスター・チルドレン (Mr. Children) の楽曲『抱きしめたい (Dakishimetai : I Want To Hold You)』 [アルバム『カインド・オブ・ラブ (Kind Of Love)』収録 1992年発表] ばかりなのである。
沢田研二 (Kenji Sawada) の楽曲『ラヴ:抱きしめたい (Love : Dakishimetai)』 [アルバム『ラヴ〜愛とは不幸をおそれないこと〜 (Love ~Ai Toha Fukou Wo Osorenai Koto~)』収録 1978年発表] であっても、米米クラブ (Kome Kome Club) の楽曲『抱きしめたい』 [アルバム『ファイ (Phi)』収録 1993年発表] であっても良い筈なのに、何故だかその曲とその曲に関する事ばかりをおもいしらされるばかりだ。
恐らく、インターネット (Inter-net) と謂うメディアが成立した時季と謂う事や、そのメディアを駆使し受益する世代や階層に起因する結果なのだろうとは、誰にも理解出来る事ではある。
だから、馬鹿のひとつ覚えの様に、一昨日来やがれとほざいて、例えば10年後、50年後、100年後、同じ事を試みた結果を自分勝手に想像してほくそ笑んで、お仕舞いにしてしまう事も、可能な事ではある。
それは仮に、きみが明日死んでしまっても、構わない事だ。
それよりもやるべき事をさっさと片付けて仕舞おう。
だきしめたいと謂う語句の次に、関連事項をさっさと書き込んでしまえばいいのだ。

と、とち狂った様な前段を置いて本題とするのは、ザ・ビートルズ (The Beatles) の楽曲『抱きしめたい (I Want To Hold Your Hand)』 [『パスト・マスターズ Vol.1 (Past Masters Vol. 1)』収録 1963年発表] である。
この曲がなければ、恐らく、巷に現在あふれている同名異曲のうちの幾つかは存在しない筈だ。つまり、和歌に於ける本歌取りのその本歌の様な位置づけにこの楽曲があると思ってもいい。

だけれども、かつてのぼく自身もそうなのだが、その楽曲の原題と邦題とをみくらべて、誤訳とは断言はしないものの、その言葉のもつそれぞれの意味の飛躍に驚かされざるを得ないヒトも多い様だ。
「アイ・ウォント・トゥ・ホールド・ユア・ハンド (I Want To Hold Your Hand)」には、「抱きしめたい」と謂う意味もないし、歌詞中にもそれに相当する行為も欲望も唄われてはいない。それは「きみの手を握りたい (I Want To Hold Your Hand)」とか「きみの手をとりたい (I Want To Hold Your Hand)」とか「お手を拝借 (I Want To Hold Your Hand)」と本来ならば訳すべきだ、と。

本国英国では、ザ・ビートルズ (The Beatles) の5枚目のシングルとして63年11月発表されたこの楽曲は、翌1964年2月に日本における彼らのデヴュー・シングルとして発売された。この国に於けるザ・ビートルズ (The Beatles) の人気はこの曲から始まった。
だが、もしもそのデヴュー曲が、原義に忠実な題名、「きみの手を握りたい (I Want To Hold Your Hand)」とか「きみの手をとりたい (I Want To Hold Your Hand)」とか「お手を拝借 (I Want To Hold Your Hand)」とかだったりしたら、日本における彼等の人気は一体、どこまで広まっただろうか、とぼくは思う。勿論それは、原題を忠実に仮名書きした「アイ・ウォント・トゥ・ホールド・ユア・ハンド (I Want To Hold Your Hand)」でも、おなじ事だ。

単刀直入で直裁的で、なおかつ、言語横断にして問答無用な印象を与えるこの邦題のもつ響きは、当時のザ・ビートルズ (The Beatles) と謂うバンドの存在をあまりにも明確に断定している様な印象が、ぼくにはあるのだ。
[この邦題が如何に革新的であるかを論じるには、今のぼくには掌に余る行為ではあるのだ。同じ年のヒット曲の題名だけをじっと睨んでいると何かが違うなぁとは思いはするモノの、それを大声で論じるのにはまだ抵抗があるのだ。]

そして、その印象をさらに助長するのが同時収録されたB面曲の邦題だ。
こいつ (This Boy)』 [『パスト・マスターズ Vol.1 (Past Masters Vol. 1)』収録 1963年発表] と謂う。

images
シングル盤のジャケットを眺めてみれば、「抱きしめたい」と「こいつ」が並んでいて、あたかも「こいつ」を「抱きしめたい」と叫んでいるかの様な誤解をも生みかねない。
[掲載画像はこちらから。よくみるとメンバ−4人のサインつきだ。]

ぼくが彼等を知ったのは、彼等が解散してから数年後の事だけれども、まだ当時、レコード屋の一角にある洋楽のシングル盤コーナーには、彼等の作品が何枚も並んでいた。
その中にあって、『抱きしめたい / こいつ』と謂う字面のインパクトは相当なモノだった様な記憶がある。

この楽曲に関しては書き連ねなければならない事、しかももっと重要な事柄がある様な気がしないでもないが、今回はここまでだ。

次回は「」。

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