2015.12.01.13.10

だーすゔぇいだー

スター・ウォーズ・シリーズ (Star Wars Series)』の最新作『スター・ウォーズ エピソード7 /フォースの覚醒 (Star Wars : The Force Awakens)』 [J・J・エイブラムス (J. J. Abrams) 監督作品 2015年制作] には、ヴェーダー卿 (Darth Vader) [実演:デビッド・プラウズ (David Prowse) 声優:ジェームズ・アール・ジョーンズ (James Earl Jones)] は登場しない。32年も前に公開された、第3作である映画『スター・ウォーズ エピソード6 / ジェダイの復讐 (Star Wars Episode VI Return Of The Jedi)』 [リチャード・マーカンド (Richard Marquand) 監督作品 1983年制作] の中で死んでいるからだ。
その作品の最終場面で、霊体となって、ヨーダ (Yoda) [声優:フランク・オズ (Frank Oz)]、オビ=ワン・ケノービ (Obi-Wan Kenobi) [演:アレック・ギネス (Alec Guinness)] と共にルーク・スカイウォーカー (Luke Skywalker) [演:マーク・ハミル (Mark Hamill)] 達を見守る姿をみてとれる。
映画公開時はその場面、第3作にヴェーダー卿 (Darth Vader) 役を担ったセバスチャン・ショウ (Sebastian Shaw) の姿をもって登場した彼は、現在では、第5作『スター・ウォーズ エピソード2 / クローンの攻撃 (Star Wars Episode II Attack Of The Clones)』 [ジョージ・ルーカス (George Lucas) 監督作品 2002年制作] と第6作『スター・ウォーズ エピソード3 / シスの復讐 (Star Wars Episode III Revenge Of The Sith)』 [ジョージ・ルーカス (George Lucas) 監督作品 2005年制作] このふたつの作品においてアナキン・スカイウォーカー (Anakin Skywalker) 役を演じたヘイデン・クリステンセン (Hayden Christensen) の姿をもって登場している。
初めてその差し替え後ヴァージョンである第3作のDVD版を観た時は吃驚した(その際の、その驚きはこちらの頁のトラックバックにもリアルタイムな反響が寄せられている)。

この差し替えが妥当か否かは、賛否が分かれるところではある。
但し、制作陣の意図するところを考慮すれば、第4作『スター・ウォーズ エピソード1 / ファントム・メナス (Star Wars Episode I The Phantom Menace)』 [ジョージ・ルーカス (George Lucas) 監督作品 1999年制作] からこのシリーズを体験する人々を念頭においての改変に違いない。
つまり、物語の中の時系列に従って、このシリーズを観ると謂う前提である。

本来ならば、連作をいつどこでどんな順番で体験しようが、体験者個人の意思や環境に起因するモノなのだから、外野がとやかく謂う筋合いではない。
だが、少なくともこのシリーズに於いては、映画公開順で体験する場合と、物語の中の時系列に従って体験する場合とでは、はなはだ印象が異なる様な気がする [下の附記 1. を参照の事] 。

改めてここで注釈を入れておくと、拙稿ではむっつの映画作品を公開順にカウントしている。
つまり、映画『スター・ウォーズ (Star Wars)』 [ジョージ・ルーカス (George Lucas) 監督作品 1977年制作] が第1作で、映画『スター・ウォーズ エピソード1 / ファントム・メナス (Star Wars Episode I The Phantom Menace)』 [ジョージ・ルーカス (George Lucas) 監督作品 1999年制作] が第4作だ。仮に、物語の時系列順にカウントすれば、これが逆転する訳だ。
ついでに書いておけば、様々なメデイアに顕れた数多くのスピン・オフ作品 (Spin Off Works) もここでは考慮していない。発表されたむっつの映画作品とこれから顕れるであろうみっつの映画作品だけを念頭に置いている。

映画の公開順で体験出来る世界観をきちんと丁寧に綴る事は難しい。それは観るものによって、如何様にも解釈可能な物語が辺り一面に転がっているからだ。
父と子の物語も、師と弟子の物語も、ふたりの英雄の間でこころが揺れる少女の物語も、見出す事が可能だからだ。
ところが、物語の時系列に従って体験する事は、ほぼたったひとつの物語を観るのに等しい。つまり、アナキン・スカイウォーカー (Anakin Skywalker) の物語なのである。

錯綜しながらも対立するふたつの勢力、政治的な面からみればそれは銀河共和国 (Galactic Republic) と銀河帝国 (Galactic Empire) の対立であり、彼の資するところからみればフォース (The Force) のふたつの側面、ジェダイ騎士団 (Jedi Order) とシス (Sith Order) の対立がある。しかも、このふたつの対立軸はほぼ、銀河共和国 (Galactic Republic) =ジェダイ騎士団 (Jedi Order) と銀河帝国 (Galactic Empire) =シス (Sith Order) の対立に集約可能だ [広い銀河宇宙をたったふたつの勢力の対立へと還元可能な、このシリーズの世界観は功罪半ばだろう。下の附記 2. を参照の事]。
物語の殆どの登場人物達は、いずれか一方に与しており、それはほぼ揺るがない。
逆に謂えば、アナキン・スカイウォーカー (Anakin Skywalker) ただひとりが、その間で揺れ続けている事になる。
むっつの映画作品として顕れている『スター・ウォーズ・シリーズ (Star Wars Series)』と謂う物語を、その時系列に従ってみる事は、ふたつの巨きな勢力の対立に翻弄され続けるひとりの青年の一生を追い続ける事なのだ。

そういう意味では、アナキン・スカイウォーカー (Anakin Skywalker) の死後の物語を語るであろう、みっつの映画作品はどの様な展開をみる事が出来るのであろうか。

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このシリーズには、生みの親ジョージ・ルーカス (George Lucas) 自身の映画体験に基をおく、幾つもの元ネタ作品がある事が知られている。
例えば、映画『隠し砦の三悪人 (The Hidden Fortress) 』[ 黒澤明 (Akira Kurosawa) 監督作品 1958年制作] だ。
全部で9作品になると謂われているこの映画シリーズに於いて、総ての作品に登場するのは2体のドロイド (Droid)、シースリーピーオー (C-3PO) [演:アンソニー・ダニエルズ (Anthony Daniels)] とアールツーディーツー (R2-D2) [演:ケニー・ベイカー (Kenny Baker)] だけだ。この2体の性格付けが映画『隠し砦の三悪人 (The Hidden Fortress) 』[ 黒澤明 (Akira Kurosawa) 監督作品 1958年制作] に登場するふたり、太平 (Tahei) [演:千秋実 (Minoru Chiaki)] と又七 (Matashichi) [演:藤原釜足 (Kamatari Fujiwara)] に負っていると謂う。そして、この2体が物語の折々につけ放浪する羽目になる惑星タトゥーイン (Tatooine) の荒涼とした光景は、映画『隠し砦の三悪人 (The Hidden Fortress) 』[ 黒澤明 (Akira Kurosawa) 監督作品 1958年制作] の冒頭の描写に負っていると謂う。
[掲載した画像は、惑星タトゥーイン (Tatooine) を彷徨っている2体のドロイド (Droid) ではなくて、太平 (Tahei) と又七 (Matashichi) のふたり。こちらから。]

しかし、それだけであろうか。
映画『隠し砦の三悪人 (The Hidden Fortress) 』[ 黒澤明 (Akira Kurosawa) 監督作品 1958年制作] は欺きが主題の映画だ。三船敏郎 (Toshiro Mifune) が演ずる真壁六郎太 (General Rokurota Makabe) が太平 (Tahei)と又七 (Matashichi) とに対し、身分を偽ると同時に、このふたりは絶えず真壁六郎太 (General Rokurota Makabe) を欺こうと画策する。そして、そんな彼等が敵国領内を如何に欺いて安全圏へと脱出出来るのか、と謂うのがこの映画の本筋だ。
そして、その本筋を喝破するのが藤田進 (Susumu Fujita) 演じる田所兵衛 (General Hyoe Tadokoro) による大音声「裏切り御免 (Sorry, I Betray You.)」と謂う叫びなのである。

アナキン・スカイウォーカー (Anakin Skywalker) の一生は、ある意味でこの「裏切り御免 (Sorry, I Betray You.)」の連続の様な生き様なのである。
そして、大なり小なり、「裏切り御免 (Sorry, I Betray You.)」は、『スター・ウォーズ・シリーズ (Star Wars Series)』の通奏低音 (Basso continuo) となっている。
藤田進 (Susumu Fujita) 演じる田所兵衛 (General Hyoe Tadokoro) をそのまま引き写したかの様なランド・カルリシアン (Lando Calrissian) [演:ビリー・ディー・ウィリアムズ (Billy Dee Williams)] の行動はその解りやすい実例であって、ハン・ソロ (Han Solo) [演:ハリソン・フォード (Harrison Ford)] がジャバ・ザ・ハット (Jabba The Hutt) [演:本人 (Himself)] から追われていたのもある意味での「裏切り御免 (Sorry, I Betray You.)」の結果のひとつなのかもしれないし、レイア姫 (Leia Organa) [演:キャリー・フィッシャー (Carrie Fisher)] がルーク・スカイウォーカー (Luke Skywalker) [演:マーク・ハミル (Mark Hamill)] とハン・ソロ (Han Solo) [演:ハリソン・フォード (Harrison Ford)] の間でこころが揺れ続けるのも、そのひとつと看做しても良いのかもしれない。

と、謂う事を前提に考えれば、今後、順次に公開されていくであろうみっつの映画作品においても、裏切るないしは騙るないしは欺くは、物語の中においておおきな要素となるのではないだろうか。
謂うなれば、アナキン・スカイウォーカー (Anakin Skywalker) に匹敵する程に、ふたつの勢力のあいだで翻弄され続ける人物が登場するのではないだろうか、とぼくは考えているのである。

次回も「」。

附記 1.:
このシリーズを時系列に従って観る事に、ぼくが意義を置いていない [と謂うよりもそれに疑義を持っている] のは、それが現時点での最も劇的なシーンを一切、無効にしてしまうのではないか、と考えているからである。
劇的なシーンとは、第2作『スター・ウォーズ エピソード5 / 帝国の逆襲 (Star Wars Episode V The Empire Strikes Back)』 [アーヴィン・カーシュナー (Irvin Kershner) 監督作品 1980年制作] に於いて、ヴェーダー卿 (Darth Vader) がルーク・スカイウォーカー (Luke Skywalker) に告げるあの台詞の事だ。
あの台詞があるからこそ、第2作は単体の映画作品として物語を終わらせる事すら出来ずに、その続編である第3作の登場を告げてしまう。そして勿論、それを受けた次作は、その台詞自身が主要なテーマとなり、その意味とその真実の追求に終始する事になる。それ程、おおきなちからをもつ台詞だ。
謂うまでもなく、あの台詞とは「お前の父はわしだ! / I Am Your Father.」である。
時系列に従ってこのシリーズを観るのであるのならば、あの台詞は既に所与のモノでしかない。その結果として観るモノの物語への関心の殆どは、ルーク・スカイウォーカー (Luke Skywalker) もまたアナキン・スカイウォーカー (Anakin Skywalker) と同じ運命を歩むのか否かと謂う点に尽きてしまう。衝撃の度合いが全く違うモノになるのだ。
果たして、それでいいのだろうか。
もしもジョージ・ルーカス (George Lucas) がそれで良しとしているのならば、それでもいい。
しかし、もしそうであるのならば、これから公開されていくであろう作品群の中で、ここまでとは全く異なるおおきな影響を与える台詞としての効力や影響を、「お前の父はわしだ! / I Am Your Father.」が発揮するドラマツルギー (Dramaturgy) を望みたいと、ぼくは思う。

附記 2. :
さらに謂えば、ふたつの勢力の一方の長が、ダース・シディアス (Darth Sidious) ことシーヴ・パルパティーン (Sheev Palpatine) [演:イアン・マクダーミド (Ian McDiarmid)] であって彼が銀河帝国 (Galactic Empire) を統べると同時に、シス (Sith Order) の頂点にも居ると謂う単純な図式をどう評価すべきなのだろうか。
だが、これから発表されるみっつの作品には、彼はもういない。
一見、一枚岩とも見えた銀河帝国 (Galactic Empire) =シス (Sith Order) と謂う構図が崩れた場所からも、物語が始まるのだ。
そこにぼくは期待しているモノもある。
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