2015.10.18.11.42

"STINKFIST" by CLINT RUIN / LYDIA LUNCH

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このコラボレーション作品の主人公ふたり、クリント・ルイン (Clint Ruin) [彼は様々な偽名変名によるプロジェクトがあるが、拙稿ではクレジット表記に準ずる] とリディア・ランチ (Lydia Lunch) の、アーティストとしての事はとりあえず棚上げして、先ずは誰もが眼を奪われるアート・ワークから。
そして恐らく、殆どそれだけに終始した内容になってしまうと思う。

ここまであけすけなモノは、そうざらにはないが、男女2人のコラボレーション作品であって、自身それぞれの裸体を曝け出した作品に、先例がない訳ではない。

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少なくとも、ぼくのしっている限りに於いて、2作品。
ひとつは、ジョン・レノン (John Lennon) とオノ・ヨーコ (Yoko Ono)、ふたりの最初の連名作品であるアルバム『未完成作品第1番 トゥー・ヴァージンズ (Unfinished Music No.1 : Two Virgins)』 [1968年発表:上掲左]。
ひとつは、スージー・アンド・ザ・バンシーズ (Siouxsie And The Banshees) のふたり、スージー・スー (Siouxsie Sioux) [vo] とバッジー (Budgie) [dr] によるデュオ、ザ・クリーチャーズ (The Creatures) のファーストEP『ワイルド・シングス (Wild Things)』 [1981年発表:上掲右]。
どちらもその後、ながきにわたるコラボレーション・ワークの第1弾作品であって、それぞれにこの様なアート・ワークになったのはそれなりの理由があるのではあるが、そこまではここでは触れない。各自で検証してみてもらえればと思う。

だけれども、やっぱりこの様に、アーティスト自らがぎりぎりの露出を試みる作品はあまりに少ない。

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例えば、ソニック・ユース (Sonic Youth)に於いて長年の公私にわたるパートナーであったキム・ゴードン (Kim Gordon) [b, vo] とサーストン・ムーア (Thurston Moore) [g,vo] がこの種の作品を発表した事はない。
例えば、トーキング・ヘッズ (Talking Heads) に於いて、さらにそのバンドが終焉した後も公私にわたるパートナーである、ティナ・ウェイマス (Tina Weymouth) [b] とクリス・フランツ (Chris Frantz) [dr] も、この種の作品を発表した事はない。本体であるトーキング・ヘッズ (Talking Heads) を離れての自身達主導のユニット、トム・トム・クラブ (Tom Tom Club) においてもそれは同じだ。
もうひとつ例を挙げると、ボスホッグ (Boss Hog) に於ける公私にわたるパートナーであるクリスティーナ・マルティネス (Cristina Martinez) [vo] とジョン・スペンサー (Jon Spencer) [g] に於いても、クリスティーナ・マルティネス (Cristina Martinez) [vo] 自身は単体で惜しげもないくらいに、幾つもの作品に於いてその肉体を曝け出しいるのにも関わらずに、その場にジョン・スペンサー (Jon Spencer) がいる事はない。
[せっかくだから、ボスホッグ (Boss Hog) の、クリスティーナ・マルティネス (Cristina Martinez) [vo] の裸体をフィーチャーした作品群を上に掲載しておく。左から順に、『ドリンキン・リーチン・アンド・ライン (Drinkin', Lechin' And Lyin')』 [1989年発表]、『コールド・ハンズ (Cold Hands)』 [1990年発表] そして『ホワイトアウト (Whiteout)』 [2000年発表] だ。]

と、謂う事はこの種の作品を発表する事は、余程の覚悟がいる事なのだ [凄く自明な事を殊更に大仰に綴っている気もするのだが]。
この場合の覚悟とは、アーティスト・ポリシーだとかセールス・ポテンシャルだとかセルフ・マネージメントだとかセルフ・イメージだとかあらゆる要素が混濁している様に思える。そこにさらに、よりナイーヴなプライヴェートな問題もそこに混入されるのは間違いない。

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例えば、本作品の主人公のひとり、リディア・ランチ (Lydia Lunch) 自身も、様々な男性アーティストとコラヴォレートし、そこではセクシャルな表現を行っているのにも関わらず、ここまであけすけなアプローチをしている作品は、これが唯一だ [一例として、1991年発表のローランド・S・ハワード (Rowland S. Howard) とのコラボレーション作品『ショットガン・ウェディング (Shotgun Wedding)』のアートワークを掲載しておく:上掲左]。
リディア・ランチ (Lydia Lunch) とクリント・ルイン (Clint Ruin) の第2作『死神 (Don't Fear The Reaper)』 [1991年発表] のアート・ワークでさえも、本作品の様なアプローチは行っていない [上掲右]。ちなみにこの作品、表題曲『死神 (Don't Fear The Reaper)』はブルー・オイスター・カルト / Blue Oyster Cult) の『死神 (Don't Fear The Reaper)』 [アルバム『タロットの呪い (Agents Of Fortune)』収録 1976年発表] のカヴァーで、ザ・ビートルズ (The Beatles) の『ホワイ・ドント・ウイ・ドゥ・イット・イン・ザ・ロード (Why Don't We Do It In The Road?)』 [アルバム『ザ・ビートルズ (The Beatles)』収録 1968年発表] のカヴァー『ホワイ・ドント・ウイ・ドゥ・イット・イン・ザ・ロード (Why Don't We Do It In The Road?)』も収録されている。

やはり、そこには当事者であるふたりに、濃厚な蜜月な時間が存在しない限り、難しいのだろうなぁと思いつつも、この作品に関する限りには、もうひとつだけヒントがある。

それはこのアートワークが同名の映画作品によると謂うクレジットがある事なのだ。つまり、その映画作品においての演技と謂う解釈が成立するのだ。
しかし、残念ながらその映画作品の存在自身を確認する術は今現在、ない。少なくともネット上でその存在を示唆するモノは発見できず、本作品のクレジット上の中だけのモノなのだ。
もしかすると、本来が架空のサウンドトラック作品と謂う設定を基に、この作品が制作されているのかもしれない。

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この作品が発表された当時、このアートワークは実は非常に説得力があったのだ。
それは既に、このふたりの関係が周知の事実であったのは勿論だが、それよりもこの作品における2人の体位だ。
やっぱりリディア・ランチ (Lydia Lunch) の方がうえにのっかる (Woman On Top) のね [はぁと]、彼女主導なのね [はぁと]、と謂う下衆い妄想をしっかりと裏付けてしまうからだ。
いや、バック・カヴァーでは所謂正常位 (Missionary Position) だけれども、欲情のイニシアティヴはのしかかられているリディア・ランチ (Lydia Lunch) が握っている様に、どうしてもみえてしまう [上掲を参照の事]。
冷静に音楽的に考えれば、クリント・ルイン (Clint Ruin) が構築した音世界のうえで、自由奔放にリディア・ランチ (Lydia Lunch) のヴォーカリゼーションがのたうちまわると、とってつけた様な批評まがいをでっち上げる事も出来るのだけれども。

しかし、そおゆう予感めいた期待をもってこの作品を聴くと、すこしあてが外れてしまう。

クリント・ルイン (Clint Ruin) によるフィータス (Foetus) 名義の諸作品での、クリント・ルイン (Clint Ruin) のヴォーカリゼーションをリディア・ランチ (Lydia Lunch) のそれにそのまま置換したモノを望んでも、そこにそれはない。
寧ろ本作品と同時期に発表されたロリ・モシマン (Roli Mosimann) [彼は本作品表題曲『スティンクフィスト (Stinkfist)』にも参加している] とのプロジェクト、ワイズブラッド (Wiseblood) の方に通じるサウンド構築だ。
ここで求められているのは、速度だ。だから表題曲自身よりもそのリミックス作品である『サン・オヴ・スティンク (Son Of Stink)』の方が、楽曲としての全体像がよくみえる。
しかも、リディア・ランチ (Lydia Lunch) 主導の、彼女の詩作品を前面に押し出した『メルトダウン・オラトリオ・パーツ・ワントゥーアンドスリー (Meltdown Oratorio Parts One Two And Three)』では、クリント・ルイン (Clint Ruin) はバック・サウンドに徹しているのだ。

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アナログ盤で発表された当時は、上記登場の3曲が収録されていたがCD化に際し、このふたりにサーストン・ムーア (Thurston Moore) が加わった『ザ・クラム (The Crumb)』が追加収録されている。ハネムーン・イン・レッド・オーケストラ (The Honeymoon In Red Orchestra) 名義で1988年に発表されたシングル『ザ・クラム (The Crumb)』のタイトル曲である。

ものづくし(click in the world!)156. :
"STINKFIST" by CLINT RUIN / LYDIA LUNCH


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"STINKFIST" by CLINT RUIN / LYDIA LUNCH

STINKFIST

PERSONAL :
CLIFF MARTINEZ - DRUMS & METAL
D.J. BONEBRAKE - DRUMS 6 METAL
NEIL - DRUMS & METAL
SPIT - DRUMS & METAL
TOM SURGAL - METAL
ROLI MOSIMANN - TIMBALES
LYDIA LUNCH - VOICES & METAL
CLINT RUIN - VOICES & METAL

RECORDED : ELDORADO, LOS ANGELES 1 APRIL 1986
ENGINEERED BY RANDY BURNS
REMIXED : EVERGREEN, NEW YORK 12 MAY 1986
ENGINEERED BY HAHN ROWE
REPRODUCED & EDITED : ROLI ROX, NEW YORK 5,6,7 JUNE 1986
ENGINEERED BY ROLI MOSIMANN

MELTDOWN ORATORIO PARTS ONE TWO AND THREE

PART ONE : THE RECKONING
PART TWO : THE CRACK
PART THREE : THE MELTDOWN

PERSONEL :
LYDIA LUNCH - VOICES, WORDS
CLINT RUIN - INSTRUMENTS, MUSIC
RECORDED : B.C., NEW YORK 25 DECEMBER 1987
ENGINEERED BY MARTIN BISI

SON OF STINK

CREDITS AS WITH STINKFIST

PRODUCED AND DIRECTED BY CLINT RUIN
CONCEIVED AND COMPOSED BY CLINT RUIN AND LYDIA LUNCH

THE CRUMB

LYRICS : LYDIA LUNCH / THURSTON MOORE
MUSIC : CLINT RUIN / THURSTON MOORE / LYDIA LUNCH
PERSONEL :
THURSTON MOORE - GUITARS / VOICES
LYDIA LUNCH - VOICES
CLINT RUIN - LOOPS / TREATMENTS
BASS / DRUMS : GRAFTED AND TRANSPLANTED FROM ETERNITY
PRODUCED, STRUCTURED, CUT UP AND PUKED OUT BY CLINT RUIN
ENGINEERED BY MARTIN BISI AT B.C. BROOKLYN NY, MAY 1987
BLOW YOUR FUCKING BRAINS OUT

"STINKFIST" SLEEVE DESIGN BY CLINT RUIN AND LYDIA LUNCH
LETTERING BY ROBERT WILLIAMS
PHOTOGRAPHS BY WIM V.D. HULST FROM THE MOTION PICTURE "STINKFIST"
"THE CRUMB" DESIGN BY MARK O
LAYOUT AND EXECUTION OF SLEEVE BY MARK O
CD LAYOUT REMIX BY SLIM SMITH
PUBLISHED BY DIMEHART / WIDOWSPEAK

(P) & (C) WINDOWSPEAK PRODUCTIONS MADE IN ENGLAND
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