2015.10.09.13.39

Nice 'N' Sleazy

おきて半畳ねて一畳。
しかしそれでは実際、せますぎる。もうすこしばかりひろいほうがいいようだ。

おれがきいたはなしだ。そのおとこのおやをなのる人物がかたってくれた。
それをそのままかきうつそう。

息子はある日、じぶんの部屋からでてこなくなった。なにがあったわけでもない。おれと衝突したわけでもないし、学校でなにかあったわけでもない。いじめも失恋も。いや、これは事態が深刻になってから、おれがほうぼうでききあさったことだ。

めしはしかたない、三食、母親がやつの部屋まではこんだ。最初のうちは、息子の様子をみがてら膳をさげにいったようだ。次第に面倒になって、めしをはこぶついでで、まえののこりをさげにいく。それが今度は1日3回が1日2回になり1日1回となる。

やつが部屋をでるのは、排泄の際と、注文の品がとどいたとき。だけれど、それも次第になくなってゆく。携帯便器がとどいて以来、それででむく必要もなくなった。あさの膳と一緒になって糞が部屋のまえにある。
はなしは前後するが、必要なものはすべて通販で入手していたようだ。便器もそれだ。はじめのうちは、うけとりにはでむいたがそれすらも次第になくなった。そう、母親が玄関から部屋の入口まではこぶ。かねは全部、まえばらいだったようだ。

ひきこもって以来、おれがやつに金銭的な援助はしていない。かねはどうしたかって。さぁね。多分、部屋のなかにいてもできる方法をみつけたのだろう。どんなしのぎだかしらないが。

そうやって10数年。せまい部屋のなかがやつの世界で、出入りするのは食事と排泄物だけ。かいものははいる一方だが、でてくるものはたかがしれている。こわれたもの、きにいらなかったもの、そんなもんだ。
だから、どんどんとてぜまになっていく。

なかでやつはどんなくらしをしていたのか。おれにはけんとうもつかない。

あいつの母親やおれがいっちまったら、やつはいったいどうするのだろう。うえてしんじまうのか、それとも、だれかをやとうのか。どんだけやつがかせいでいて、どんだけたくわえがあるのか、おれたちには一向にわからないままだ。

そんな矢先の火事だ。となりの失火にまきこまれて、まるやけになっちまった。
あいつの部屋はあとかたもない。いや、それ以前にあいつ自身もいない。屍体もなければほねもない。

その日以来、あいつの母親はきがふれてしまったらしい。毎日毎晩、もえかすをかきあつめては、あいつの葬式だという。

そうして、うすきみのわるいゼラチン質がもう、バケツいっぱいになっている。
おれの息子のなれのはてさ。

[the text inspired from the song "Nice 'N' Sleazy" from the album "Black And White" by The Stranglers]


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