2015.08.16.11.26

"MONTREUX 93 / 94" by SEIGEN ONO ENSEMBLE

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ミュージシャンとしての小野誠彦 (Seigen Ono) を知ったのは、ヴァージン・レコード (Virgin Records) がヴェンチャー (Venture Records) [1987年設立] と謂うニューエイジ・ミュージック (New Age Music) 専門レーベルを立ち上げた時だ。その第一弾作品として、デヴィッド・シルヴィアン (David Sylvian) とホルガー・シューカイ (Holger Czukay) のコラボレーション作品『プライト・アンド・プレモニション (Plight And Premonition)』と、同時に発売された。

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作品名は『ザ・グリーン・チャイニーズ・テーブル (The Green Chinese Table)』と謂う。
だけれども、その時点で小野誠彦 (Seigen Ono) が関わった作品はもう既に何作品も実は聴いていたり入手していたりしていたのだ。
つまり彼を、ミュージシャンであるよりも、レコーディング・エンジニア (Recording Engineer) / マスタリング・エンジニア (Mastering Engineer) として先にぼくは認知していた様なのである。

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今は既にない、大手レコード・チェーン店のひとつの、その一角を、小野誠彦 (Seigen Ono) の作品が占めていた時がある。
今回取り上げたこの作品『モントルー 93 / 94 (MONTREUX 93 / 94)』と、同時発売された『バー・デル・マタトイオ (Bar del Mattatoio)』だ。前者が題名どおりのライヴ作であれば、後者は完全なスタジオ作だ。楽曲も一部重複している。
この2作品が新譜の話題作として大々的にフィーチャーされていたのだ。

今ではありえない事だけれども当時は、大手レコード・チェーン店が鎬を削り、その店の独自色を悉く主張していた時代だ。しかも、バイヤーと呼ばれた担当者が、自身の判断と裁量と採算で、自身の担当部署の品揃えと展開を自由に担えた時代でもあった。後に、本社一括仕入れと謂う方針が各チェーン店で採用された結果、どのレコード店に入っても同じ商品の同じディスプレイしかみられなくなってしまうのだが、当時は違う。

だが、それにしても、その大胆な小野誠彦 (Seigen Ono) 作品のフィーチャリングは、ちょっと異様な雰囲気でもあった。
ひとつは小野誠彦 (Seigen Ono) と謂うアーティストのネーム・ヴァリュー。そしてもうひとつは、この2作品が [大手レコード会社ならばともかく] 自身が運営するレーベル、サイデラ・レコーズ (Saidera Records) からの発売である事。
確かにその店のそのコーナーはいつも、マニアックでニッチな品揃えが充実しているところではあるけれども、それにしても感は拭いきれないモノがあった。

後に聴くところによると、この2作品、アーティスト自らが各チェーン店舗を営業して回っていたと謂う。
そして、その成果が最も如実に顕れたのが、その店のそのコーナーだった、と謂う訳だ。

だから、そおゆう事象に囚われて、ぼくはこの作品ともうひとつの作品をひっぱりだして聴く度に、内心穏やかではない。
音楽そのものに向かう前に、本来ならば音楽を下支えするべきモノばかりが先にみえてしまう [音楽家が自身の作品を行商すべきではない、と謂う意味では勿論、ない]。

この2作品を紹介するのにあたって、当時の流行り言葉を使えば、極上のワールド・ミュージック (World Music) となるだろう。
確かに、参加したミュージシャンは国内外から集められた人材であって、その彼らが、どこの国とも知れぬ、異国情緒満載の、どこの国にもない音楽を聴かせてくれる。それは文字どおりに、ワールド・ミュージック (World Music) と謂う語句を直訳したモノ、広義のワールド・ミュージック (World Music) に他ならない。

だけれども、それを狭義の意味に解釈しだした途端、この2作品の所在は突然に不明なモノと化してしまう。ある特定の地域に根ざした音楽でも、ある特定の民族の音楽でも、ないからだ。

だから、ジャンル分けに拘泥すればする程、この2作品のありどころは喪われてしまうし、だからと謂って、聴くモノを極めて限定し、特化する様な音楽でもない。
ただ、流れていれば、それだけで心地よい、聴き手を選ばない音楽なのだ。

にも関わらずに、いや、それだからこそ、音楽家自らが自作を営業しなければならないと謂う、矛盾が誕生するのだ。

それでもその時代、その矛盾を承知で抱え込む事が出来るレコード店と謂う存在があるだけマシだった、と考えるべきなのだろうか。

ものづくし(click in the world!)154. :
"MONTREUX 93 / 94" by SEIGEN ONO ENSEMBLE


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"MONTREUX 93 / 94" BY SEIGEN ONO ENSEMBLE

1. Bar del Mattatoio (5'45)
2. Something to Hold On To (4'34)
3. I Do Love You a Little (8'20)
4. Malu (4'26)
5. Vida Boa (8'42)
6. Nick & Kiriko (5'10)
7. Enishie (5'05)
8. It's Denise (5'06)
9. I Am a Good Fish (5'30)
10. The Green Chinese Table (6'33)
11. Julia (5'20)

All compositions written and arranged by Seigen Ono
except "Something to Hold On To" written by Seigen Ono and Arto Lindsay
"Julia" written by Seigen Ono and Jill Jaffe

Produced and mixed by Seigen Ono for Saidera Records
Mastered by Ted Jensen at Sterling Sound, New York, September 1994
Art direction and design by Tsuguya Inoue for Beans
Recorded live at the 27th and 28th Montreux Jazz Festival
Live recording coodination by Vicky
Mixed at Hitokuchizaka Studios, Tokyo, August and September 1994
Assistant Engineers : Motoki Okuda, Yoshinori Mizuide, Koji Tsujii, Yoichi Tsuyuki
Special Thanx to :
Claude Nobs, Emmanuel Getaz and all the staff at the festival, Ted Jensen, Shohachi Sakai (Sony Corp.), Yukio Morisaki, Kaoru Hayashi (Studio Garage Inc.), Takashi Shinozaki (Taive), Masahiro Araki and Shoko Abe (Hitokuchizaka Studios), Jeffrey W. Himmel (Cesia Ritter Travel Inc.), Anja Borstelmann, Keiko Courdy, Ondina de Castilho, Marcia de Souza, Julia S. Yongue, Steven Brull

SD-1004 (P) & (C) 1994 SAIDERA RECORDS (R)
Printed and CD Manufactured by SAIDERA RECORDS

Tracks 1, 3, 5, 7, It's Denise and 10 recorded July 17, 1993 at Miles Davis Hall by Anders Muhr
Conductor, guitar : Seigen Ono
Alto sax : Mane Silveira
Soprano sax, flute : Paul Shapiro
Tromborn : Yoichi Murata
Accordion : Toninho Ferragucci
Percussion : Joao Parahyba
Drums : Bobby Previte
Keyboards, bass : Peter Scherer
Cello : Maxine Neuman
Violin : Alexandre Balanescu
Violin : Claire Connors
Guitar : Amedeo Pace

Tracks 2, 4, 6, 9, 11 and 1 intro recorded July 11, 1994 at Auditorium Stravinski by Weis Reire with Voyageur II
Conductor, guitar : Seigen Ono
Alto sax : Mane Silveira
Soprano sax, tenor sax : Roy Nathanson
Fluegelhorn, piano : Jun Miyake
Tromborn : Yoichi Murata
Cello : Maxine Neuman
Accordion : Toninho Ferragucci
Percussion : Joao Parahyba
Drums : Douglas Bown
Contra bass : Marc Marder
Guitar : Hiroki Miyano
Dancer, voice : Ondina de Castilho
Dancer, voice : Keiko Courdy
Sound Engineer : Takashi Shinozaki

original liner-notes by Claude Nobs (Director and Producer of the Montreux Jazz Festival) Montreux, October 1994
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