2015.04.14.13.35

もちづき

高校時代、同じクラスに望月くんは2人いた。血縁関係はない。
しかも、隣りのクラスにも望月くんはふたりいたのだ。この2人も血縁関係はないし、2クラスあわせて、4人いる望月くんのそれぞれの誰一人、親戚でもなんでもない。赤の他人の息子なのだ。

これが、鈴木くんや高橋くんならば、当たり前の話だし嘗てそおゆう事もなかった事がない事もない。鈴木くんと鈴木さん、高橋くんと高橋さんと謂う組み合わせもあったし、同じクラスに石川くんが2人とか長島くんが2人と謂う場合もあった。

一卵性双生児は別々のクラスに振り分けられた事があった代わりに、同性の従姉妹同士が偶々同じクラスと謂う事も、確かあった筈だ。
序でに書けば、同性異人が複数ではなくて、同名異人が複数と謂う場合も過去何度かあった筈だが、それはさしたる問題にはならない。

否、そんな一般論に発展させてしまうと、単なる、ぼくが在籍した学校の、クラス編成が如何にいい加減だったのかと謂う非難がましい話にしかならないから、それはここではしない。
ぼくがかつて在籍していたクラスの2人の望月くんと隣りのクラスの2人の望月くん、この4人の望月くん達の話に限定して、ここから先を綴っていこう。

2つのクラスにそれぞれ2人の望月くんがいて、合計すると4人の望月くんが居る訳だが、週に何度か、否が応でもこの4人がひとつの場所に集まってしまう場合がある。
全校集会とか学年集会とか、そんな広い場所で行われる大人数が集う場所ではない。

例えば、体育の授業。男女別に別れてそれぞれの教科担任に教わる事になるのだが、男女別れたその先で2クラスの男子生徒が1人の男性体育教諭と、2クラスの女子生徒が1人の女性体育教諭に教わる事になっているのだ。つまり、その体育の授業で、望月くんが4名集ってしまうのだ。

しかもそれだけではない。

学習能力の如何に応じて、つまり、勉強の出来る出来ないによって、英語と数学は、4クラスが解体されて、その能力ごとにクラス別けされる事になっていたのだ。1週間に何度か、自身の教科書と参考書と辞書とノートと筆記用具とを抱えて、4つのクラスの生徒が自分の机を追い出されて右往左往するのだ。
で、どういう訳だがしらないが、ここでも4人の望月くんは同じクラスとなってしまうのだ。
因みに、その場にはぼくもいて、序でにぼくの名誉の為に書いておくと、一番、成績のいい生徒が集まる場所だった。
誰か1人くらい脱落するか、もしくは、誰か1人だけが抜け出していても良さそうな環境下にも関わらずに、4人の望月くんは一堂に会してしまうのである。
念の為にもう一度記しておけば、この4人誰一人、親戚関係にはなくて、皆それぞれ赤の他人なのだ。

そんな状況が3年間続く訳だから、この4人の望月くんを差別化する為に、同級生は愚か教師達の誰もが彼らをファースト・ネームで呼ぶ。
その点だけは少し、羨ましいと思った。

ぼく達のこんな体験は特異なモノかもしれないが、鈴木高橋馬の糞程ではないかもしれないが、ぼくが生まれ育った地域では、望月姓は珍しいモノでもなんでもなかった。

但し、他所の地域では特異な姓らしい。
それを認識させたのは、中学の英語文法の教師で、彼女が望月姓だった。
彼女が新学期で初めて登壇した際、どの教師もする様に、自身の姓名を板書すると同時に隣に平仮名を振ったのだ。
「この地域ではいらないと思うんだけどね」と。

望月姓の出自は望月町 [現在は佐久市 (Saku City) の一部] にあって、しかもそこには誰一人望月姓はいない。
と、謂う趣旨から始まる地方探訪のドキュメンタリー番組がかつてローカル・ネットで、放送された記憶がある。

images
上記掲載画像は、月岡耕漁 (Kogyo Tsukioka)の連作『能楽百番 (100 Noh Plays)』より『望月 (Mochizuki)』。
(Noh) の演目『望月 (Mochizuki)』を観るとふと、映画『ゼイラム (Zeiram)』 [雨宮慶太 (Keita Amemiya) 監督作品 1991年制作] を思い出しちゃうんだよなぁ。

次回は「」。

附記 1.:
高校は卒業したモノの、受験した大学に悉く不合格となり腐っていた3月のある日。夕刊のラテ欄に、今春卒業したばかりの望月N子さんと謂う名前を発見して吃驚したのだ。同学年でしかも同姓同名だ、と。小学校の同級生に同じ姓名の娘がいたからだ。
何気にその望月N子さんが出演するラジオ番組を聴いてみると、その声は聴いた憶えがある。同姓同名の赤の他人ではなくて、正に彼女だったのだ。
高校を卒業して就職する18歳の女性。彼女の役割はそれだけのモノで、抱負とか希望とか、それに相対する不安とか、どうでも良い様な事がアナウンサーに尋ねられ、当たり障りのない、どうでも良い様なことばが彼女から語られていて、何故、彼女が出演しなければならないんだろうとは思ったけれども、それよりも吃驚したのは、彼女は同級生だった当時、俺よりも遥かに学習ができて身体能力も秀でていた優等生だったのになぁ、と謂う事なのだ。
浪人してしまった俺自身はともかく、へぇ、そんなところに落ち着いてしまうのかねぇと謂う、変な感慨ばかりが遺ってしまったのだ。
この時季になると毎年、ふと思い出してしまう。

附記 2.:
本文中に登場した4人の望月くん達もご多分に漏れず、ぼく同様、誰一人現役合格は叶わなかった。3人の望月くんは浪人への道を選んだけれども、1人は公務員試験に合格したのでそのまま就職してしまった。
いま、彼らがなにをしているのか、ぼくは一切、知らない。
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