2015.03.15.12.11

『ジョー・ジョーンズ・トリオ feat. レイ・ブライアント (JO JONES TRIO)』 by ジョー・ジョーンズ (JO JONES)

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本作品の主人公ジョー・ジョーンズ (Jo Jones) は、カウント・ベイシー・オーケストラ (The Count Basie Orchestra) [19341948年在籍] 出身のドラマー (Drummer) で、カウント・ベイシー (Count Basie) が率いていたスモール・コンボ、カンザス・シティ・セブン (Kansas City Seven) [19391944年] のメンバーでもあった。
と、同時に彼が在籍していた時代のカウント・ベイシー・オーケストラ (The Count Basie Orchestra) のリズム・セクション、つまり、カウント・ベイシー (Count Basie : p)、フレディ・グリーン (Freddie Green : g)、ウォルター・ペイジ (Walter Page : b) そしてジョー・ジョーンズ (Jo Jones : dr) は、オール・アメリカン・リズム・セクション (The All-American Rhythm Section) と称され、稀代の名リズム・セクション (Rhythm Section) と讃えられていたのである。

ある日、ぼくは旧いジャズ (Jazz) のオムニバス・ビデオを数本、譲ってもらって、みるともなく観ていた。ジャズ (Jazz) と謂ってもぼく達が想い描く時代や作品やアーティスト達よりもすこし前の世代の映像群だ。
デューク・エリントン (Duke Ellington) やカウント・ベイシー (Count Basie)、ルイ・アームストロング (Louis Armstrong) にベニー・グッドマン (Benny Goodman)。みなどれもがスモール・コンボ (Small Combo) ではなくてビッグ・バンド編成 (Big Band) だ。
そんなバンド群による所謂ジャズのスタンダード・ナンバー (Jazz Standards) が次から次へと繰り出される。
そんなバンド群のそんな名曲群の演奏の幾つかに登場していたのがジョー・ジョーンズ (Jo Jones) だ。

禿頭 (Bald‐headed) に始終、笑みを浮かべている。にこにこと謂えばにこにこだけれども、時としてそれが、にこにこを通り越してもみえてくる。にやにやにも、にたりにたりにも。もしも、万一、こちらの機嫌が悪ければ、喧嘩売っているんぢゃあないかと下衆な勘ぐりをいれてしまいそうな笑みだ。
だからと謂って、買うべき喧嘩を買い損ねてしまうのは、そんな笑みとは似つかわしくない腕の動きときれがあるからだ。しかも、その腕の動きとは全く似つかわしくない音が飛び出てくる。

腕の動きは大きくて鋭い。大きいのはおそらくその笑みと一緒の理由だろう。彼の演っているジャズ (Jazz) が音楽 (Music / Art) として認知される以前の段階、芸能 (Show Biz / Entertainment) と同一のモノと看做されていた時代から、彼が演奏してたからに他ならない。つまり、観客達にみせる為の動きだ。
そして、動きが大きいからこそ、ジャストのタイミングで音を出すの為には結果的に、早くて鋭い行動が必須となる。
そこまではまぁ、理解できる。
だけれども、そこから出てくる音が、大きな音でも激しい音でもないから不思議なのだ。
むしろ、軽やかでやさしい音なのだ。

おおきくふりかぶっても、実際に音を出すのは、手首の返し、もしかすると、スティック (Drum Sticks) を握る指先だけのちからだけなのかもしれない。

先にあげた映像群のその殆どはビッグ・バンド編成 (Big Band) だったから、必ずしも常にドラマー (Drummer) がフィーチャリングされている訳でもない。むしろ壁の花 (Wall Flower) とも謂うべき遠景のひとつだ。
でもその代わりに、どんな楽曲であっても、短いブリッジ (Bridge) も含めて、必ずドラマー (Drummer) をフィーチャーしたソロ・パートがある。そこを観るだけでも、ジョー・ジョーンズ (Jo Jones) のドラムス (Drums Performans) を観るのには十分なのだ。

それともうひとつ。"音を出す"とか"ドラムを叩く"とか、通常は表現するのだけれども、ジョー・ジョーンズ (Jo Jones) の場合は、もう少し別の行為の様な気もする。

"音を仕舞"っているんぢゃあないか。そんな気がするのだ。
"音を仕舞う"と謂うのは、我ながらに変な日本語なのだけれども、あたかも街宣車 (Sound Trucks) が馬鹿でかい音を街の四方八方に発している様に、自身の楽器を鳴らしまくると謂うイメージの、真逆の様な意味合いだ。
ひとつひとつのその音を丁寧に丁寧に、そしてあるべき場所に配置していく、そんな意味だ。
[本当はそんなイメージを浮かばせてくれた、正にそのものの映像を紹介出来ればいいのだけれども、残念ながら、それに相応するモノをネット上には発見できなかった。]

だから、それと同時に、叩かない事が彼のドラミング (Drums Performans) にとって必須にも思えるのだ。
オン・ビート (On Beat) で鳴らすべきタイミングで叩くべき楽器を彼は叩いてはいない。時には、タイミングをずらす。早い場合もあれば遅い場合もあるし、時には全く叩かない場合もある。しかも、だからと謂って、所謂変拍子がそこに発生するのではない。オン・ビート (On Beat) のスイング感 (Swing) は実は、他の楽器が産み出すグルーヴ (Groove) によって補填されている。彼のずれや叩かない一打は、そのジャストなオン・ビート (On Beat) のスイング感 (Swing) にさらなるスリリングな感触を与えるのだ。

ジョー・ジョーンズ (Jo Jones) のドラミング (Drums Performans) の格好よさを知るのには、先ず映像から入るのがいいのかもしれない。
例えば、オール・アメリカン・リズム・セクション (The All-American Rhythm Section) の、ウォルター・ペイジ (Walter Page : b) を除く3人が集結したDVD『サウンド・オブ・ジャズ (The Sound Of Jazz)』[1957CBS収録放映作品] とか[ジョー・ジョーンズ (Jo Jones) は全10曲中4曲に参加]。

ネット上で、彼のドラム・ソロ (Drum Solo) を検索すると、目から鱗 (The Scales Drop From One's Eyes) の様なソロ・パフォーマンス (Jo Jones, Caravan, 1964) を拝む事は出来るけれどもそれはもう少し後でもいい。

本作品はレイ・ブライアント (Ray Bryant) をフィーチャーしたトリオ編成 (Playing With The Trio)。
ジャケットを観れば、ドラマー (Drummer) を語る常套句のひとつ、八面六臂 (Versatile) を映像化した様な写真だけれども、実際に聴く事の出来るサウンドはまったりとした穏やかな演奏だ。派手なドラミング (Drums performans) も一切なく、曲の冒頭がいつも、ブラッシュ・ワーク (Playing With Brushes) である事 [そして彼をブラッシュ・ワーク (Playing With Brushes) の巧者と紹介するのが常套句だ] が唯一、ドラマー (Drummer) のリーダー作である事を想い起こさせる。

ものづくし(click in the world!)149. :
『ジョー・ジョーンズ・トリオ feat. レイ・ブライアント (JO JONES TRIO)』 by ジョー・ジョーンズ (JO JONES)


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ジョー・ジョーンズ・トリオ feat. レイ・ブライアント (JO JONES TRIO)』 by ジョー・ジョーンズ (JO JONES)

鮮やかなブラッシュ・ワーク、最高の選曲にスインギーなピアノ。名手による究極の名演。
初STEREO CD化

1. スイート・ジョージア・ブラウン
 SWEET GEORGIA BROWN (B. Bernie / M. Pinkard / K. Casey)
2. マイ・ブルー・ヘヴン
 MY BLUE HEAVEN (G. Whiting - W. Donaldson)
3. ジャイヴ・アット・ファイヴ
 JIVE AT FIVE (Harry S. Edison / C. Basie)
4. グリーンスリーヴス
 GREENSLEEVES
5. ホエン・ユア・ラヴァー・ハズ・ゴーン
 WHEN YOUR LOVER HAS GONE (Einar A. Swan)
6. フィラデルフィア・バウンド
 PHILADELPHIA BOUND (R. Bryant)
7. クローズ・ユア・アイズ
 CLOSE YOUR EYES
8. アイ・ガット・リズム (Part - 1)
 I GOT RHYTHM (Part - 1) (I. & G. Gershwin)
9. アイ・ガット・リズム (Part - 2)
 I GOT RHYTHM (Part - 2) (I. & G. Gershwin)
10. エンブレイサブル・ユー
 EMBRACEABLE YOU (I. & G. Gershwin)
11. ビバップ・アイリッシュマン
 BEBOP IRISHMAN
12. リトル・スージー
 LITTLE SUSIE (R. Bryant)

ジョー・ジョーンズ (ds) JO JONES
レイ・ブライアント (p) RAY BRYANT
トミー・ブライアント (b) TOMMY BRYANT

録音:1959年5月、N.Y. Recorded May, 1959, N.Y.

Original Liner Notes : Nat Hentoff

ぼくの所有している日本盤CDは、スイング・ジャーナル (Swing Journal) 誌が選定した『SJ名盤蒐集CLUB』作品のひとつであって、岩波洋三 (Yozo Iwanami) の解説が掲載されている。

尚、上記クレジットだけでは幾つかの情報に漏れがあるので、幾つかのクレジット・データを補足しておく [こちらの頁を参照した]。

Album Design - Alex Steinweiss
Recording Engineer - Aaron Nathanson
Producer, Directed By - Raymond Scott
Recording Supervisor - Robert Engler

Record Label - Everest
(C) 1958 Belock Recording
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