2015.03.10.10.41

むだじゃむだじゃまったくむだじゃよ

と謂う台詞はアニメ『ムーミン (Moomin)』 [19691970フジテレビ系列放映] の登場人物、ジャコウネズミ (Bisamrattan / Piisamirotta) の口癖。この番組の放映期間、チャンネルを合わせれば週に1回、彼のこの発言を聴かされてきた様な気がする。
逆に謂えば、それ以外の彼の台詞は、一向に憶い出せないでいるのだ。
声優は八奈見乗児 (Joji Yanami) が担当していた。

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番組の中では彼はひとり、日がな一日、ハンモック (Hammock) に揺すられて『すべてがむだである事について (Om alltings onodighet)』と謂う書物を紐解いている。
そして、事あるごとに、もしくは、事を起こそうとしているムーミントロール (Mumintrollet / Muumipeikko) 達に向かって、くだんの台詞を投げかけるのである。
[掲載画像は、そのアニメ作品の原作のひとつ、小説『ムーミン谷の仲間達 (Det osynliga barnet)』 [作:トーベ・ヤンソン (Tove Jansson) 1963年発表] の中の挿絵。こちらより]

「無駄じゃ無駄じゃ、まったく無駄じゃよ。」

投げかける本人にしてみれば、そこにはアルトゥル・ショーペンハウアー (Arthur Schopenhauer) の厭世主義 (Pessimism) かなにかの様な、深遠な人生の教訓を与えているつもりなのかもしれないが、投げかけられた側からみれば、全く屁にもならない台詞だ。
その1時間程前の同系列で放映されていたアニメ番組『サザエさん (Sazae-san)』 [原作:長谷川町子 (Machiko Hasegawa) 1969年~ フジテレビ系列放送] で、磯野カツオ (Katsuo Isono) が実の姉であるフグ田サザエ (Sazae Fuguta) から投げかけられるお小言以上の効力もない。
なにせ、フグ田サザエ (Sazae Fuguta) には共通の父である磯野波平 (Namihei Isono) に言いつけると謂う側面攻撃もあれば、自らがかって出る実力行使もあるのだ。その点、ジャコウネズミ (Bisamrattan / Piisamirotta) にはそんな対抗手段は一切ない。何故ならば、彼から見ればそれさえも「無駄じゃ無駄じゃ、まったく無駄じゃよ。」であるからなのだ。

そおゆう理由で、彼の主張は悉く無視され無理解のままに終わってしまうのだけれども、当時小学生だったぼく達からみても、それは当然至極の事であったのだ。
いや、そればかりではない。むしろ、彼の主張の抱えている矛盾に既に気づいていたのだ。

そんなに無駄ならば生きている意味ないじゃん。とっとと死ねば。

いや、本当に。もしジャコウネズミ (Bisamrattan / Piisamirotta) が実在の人物で、ぼく達が常日頃交わるくらいの距離にいたのならば、それぐらいは謂いかねない。
そして、もしもその気があるのならば、彼のいく先々の目につく場所に、刃物やロープを置いておくくらいの事はしでかした筈だ。
ジャコウネズミ (Bisamrattan / Piisamirotta) が空想の人物であって、良かったなぁと、今でも憶う。

単純に、アニメ番組『ムーミン (Moomin)』 [19691970フジテレビ系列放映] の中で要請されている彼の役割と謂うのは、少年がもつ本来の好奇心や冒険心に歯止めをかける、知識人特有の分別と謂う様なモノだ。
だから、少年である主人公ムーミントロール (Mumintrollet / Muumipeikko) に一顧だにされないのは当然で、さらにはそれが非常に喜劇的な描写になるのは当然だ。
[トーベ・ヤンソン (Tove Jansson) の原作小説では、もう少し違う表出をしているのかもしれないが。]

だけれども、もう少しカメラをひいてみれば、ジャコウネズミ (Bisamrattan / Piisamirotta) の対極にあるのがヘムレン (Hemulen / Hemuli) で、彼は基本的に蒐集家 (Collecter) だ。自身の求めているモノを求める事だけが生きがいになっている。

ふたりの指向は全く逆の方向を向いているが、例えば、ジャック・タチ (Jacques Tati) 的な物謂いをさせて貰えば、ふたりとも"伯父さん (Mon Oncle)"だ。
大雑把に謂ってしまえば"伯父さん (Mon Oncle)"は遊び人と翻訳可能なのかもしれないし、広い意味での自由業と解すべきなのかもしれない。
磯野カツオ (Katsuo Isono) の視点でみれば、隣人の伊佐坂難物 (Nanbutsu Isasaka) と従兄弟 (First Cousin) である波野ノリスケ (Norisuke Namino) が、ここで謂う"伯父さん (Mon Oncle)"だ。

ムーミン谷 (Mumindalen) に暮らすムーミントロール (Mumintrollet / Muumipeikko) の周辺に常時顕れる成人男性は、このふたりの"伯父さん (Mon Oncle)"の他には、ヘムル署長 (Hemulen / Hemuli) とムーミンパパ (muminpappa / Muumipappa) しかいない。

磯野カツオ (Katsuo Isono) にとってみれば、ヘムル署長 (Hemulen / Hemuli) としての役割はきっと、彼の担任 (His Class Teacher) が引き受けているのに違いないのだが、少年にとっての実の父親であると謂う1点をもって、磯野波平 (Namihei Isono) とムーミンパパ (muminpappa / Muumipappa) を同列に語る訳にはいかない。

次回は「」。

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